とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
最新の記事
画像一覧

【生活保護不正受給】札幌地裁平成25年3月27日判決

【生活保護費不正受給損害賠償履行請求事件】
・札幌地裁平成25年3月27日民事第2部判決・浅井憲裁判長
(事件番号:札幌地方裁判所平成20年(行ウ)第17号・ 損害賠償履行請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83283&hanreiKbn=04


【事案の概要】
・北海道滝川市の住民である原告らが,滝川市において,平成18年3月頃から平成19年11月頃までにかけて,夫婦に対し,生活保護法19条1項の規定に基づく生活保護の支給決定を行ったことについて,同決定は同法8条2項の規定に違反するものであるなどと主張して,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号(※)の規定に基づき,上記支出に関与した滝川市の市長の職にあった者らに対して支払額相当の損害賠償請求又は当該賠償の命令をすることを求めた事案。


【※地方自治法242条の2第1項4号】
「普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一  当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二  行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三  当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四  当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求」


【主文】
1 被告は,X1(当時の滝川市保健福祉部長兼滝川市福祉事務所長)に対し,6735万円及びこれに対する平成20年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償の命令をせよ。
2 被告は,X1に対し,3050万円及びこれに対する平成20年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を滝川市に支払うよう請求せよ。
3 被告は,X2(当時の滝川市保健福祉部福祉課長)に対し,375万円及びこれに対する平成20年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償の命令をせよ。
4 被告は,X2に対し,1480万円及びこれに対する平成20年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を滝川市に支払うよう請求せよ。
5 本件訴えのうち,X3(滝川市の当時の副市長)に対し2億3886万円及びこれに対する平成20年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を滝川市に支払うよう請求することを求める部分を却下する。
6 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
7 訴訟費用は,これを10分し,その7を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。


【判示事項】
「X1及びX2 には,遅くとも平成18年11月末日の時点において,Z1夫婦が不正に通院移送費の支給を受けているのではないかと疑い,Z1夫婦に対する居宅訪問や預金調査,札幌介護福祉交通及びその代表者個人の口座の確認等の調査を徹底して行い,必要があれば警察署に相談するなどの対応をとるべき義務があったものということができ,そのような対応をとっていれば,滝川市福祉事務所による調査,警察による捜査等に一定の期間を要するとしても,遅くとも平成19年5月末日の時点では,前記前提事実(4)の還流の事実が判明し,Z1夫婦に対する通院移送費の支給を停止することが可能であったものと認めるのが相当である(なお,前記認定事実(7)カ,ケ,コ及びサのとおり,滝川市福祉事務所がZ1 夫婦の保護案件について滝川警察署に相談してから5か月と19日又は21日で生活保護の支給が停止されている。)。
そうすると,X1及びX2 が平成19年6月1日以降にZ1 夫婦に対して行った通院移送費の支給は違法であるとともに,当該支給を行ったことについて,X1 及びX2 には重大な過失があったものといわざるを得ない。」


【雑感】
・生活保護をめぐる不正受給についての珍しい判決。
・不正受給をするとこのようなことがありうることは肝に銘ずべきだと思います。
・ただ,この事件は裁判所が「通院移送費の支給は,これらの支給額自体からみて,極めて異常なものというほかない。」と判示するくらいの刑事事件になったケースであって,正当な理由があれば生活保護の申請をためらうべきではありません。


※上記の判決・意見などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2013-05-29 23:05 | 行政訴訟
<< 【間接正犯】横浜地裁平成25年... 【貸金業者の対応】NISグルー... >>