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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【傷害罪無罪判決】横浜地裁平成25年10月31日第6刑事部判決

【傷害罪正当防衛無罪判決】
・横浜地裁平成25年10月31日第6刑事部判決・田村眞裁判長
(事件番号:横浜地方裁判所平成24年(わ)第1049号・傷害被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83819&hanreiKbn=04


【公訴事実】
「被告人は,平成24年4月8日午前7時30分頃,横浜市a区b町先路上において,A(当時30歳)に対し,その顔面をげんこつで多数回殴るなどし,よって,同人に全治約1か月間を要する右前頭骨骨折,右眼窩骨折の傷害を負わせたものである。」


【争点】
・検察官は,本件暴行の直前に,Aが被告人に殴り掛かろうとしたことはなく,仮にそうであったとしても,被告人がその前にCを殴ったことや,Aが全く反撃していないのに殴り続けるなどしたことに照らせば,本件は単なる喧嘩にすぎないから,急迫不正の侵害がないか,正当防衛が成立し得る状況にはなかったと主張。
・弁護人は,本件暴行の直前,Aが被告人に殴り掛かろうとしていたのであるから,急迫不正の侵害があり,また,被告人がCを殴ったのは,Cから殴られそうになったためであって,その後,Bに首を絞められて倒れ,立ち上がった際にAが殴ろうとしてきたことなどに照らせば,本件暴行は自招侵害や喧嘩闘争によるものではないと主張。


【主文】
・被告人は無罪。


【判示事項】
「(2)正当防衛状況の有無について
 被告人は,客同士のトラブルを避けるため,Aらを退店させようとしたところ,店内でCから暴行を受け,さらに路上でもCから殴られそうになったため,Cの顔面を殴り,その後にBに押し倒されて起き上がったところ,Aから暴行を受けそうになったため,本件暴行に及んだものである。
 確かに被告人は,本件暴行の前に,Cを殴打し,Bとももみ合うなどしており,さらに,その前にCの脅し文句に言い返すなどしている。しかし,本件は,酔ったAらの店内での言動が他の客とのトラブルを招きそうになったことが発端となっており,被告人は店長として,これを避けるためAらを退店させようとしたのであるから,被告人の行動に非があったといえないことは明らかである。被告人がCとの喧嘩に応じるような言葉を発したのも,Cらに退店してもらうためであったと解する余地がある。
 したがって,本件暴行は,自招侵害によるものとも,単なる喧嘩闘争中のものともいえず,正当防衛が成立し得る状況にはなかったとは認められない。
(3)防衛行為の相当性について
 Aは,本件暴行により顔面,頭部に全治約1か月間を要する骨折の傷害を負っている。しかし,本件暴行は,素手による数発の顔面への殴打であって,連続した短時間内のものであることに鑑みると,Aが特に抵抗していなかったことや傷害結果がいささか重いことを考慮しても,防衛行為の相当性を逸脱した過剰なものとまではいえない。」


【雑感】
・無罪判決にしてはずいぶんあっさりした判決ですね。
・これは無罪があまりにも明白であったにもかかわらず,検察が無茶な起訴をしたということでしょうか。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2013-12-19 23:38 | 刑事事件
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