とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

【刑事事件】最高裁平成26年3月28日判決

【暴力団組員のゴルフ場利用と詐欺罪の成否(二つの最高裁の判断)】
・最高裁平成26年3月28日第二小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第3号・詐欺被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84091&hanreiKbn=02


【争点】
・暴力団員であることを秘してした施設利用申込み行為自体が,挙動による欺罔行為に当たるか。
・第1審判決は,暴力団員であることを秘してした施設利用申込み行為自体が,挙動による欺罔行為として,申込者が暴力団関係者でないとの積極的な意思表示を伴うものと評価でき,各ゴルフ場の利便提供の許否判断の基礎となる重要な事項を偽るものであって,詐欺罪にいう人を欺く行為に当たるとし,第2審判決も第1審判決を是認した。被告人側が上告。


【平成25年(あ)第3号・主文】
「原判決及び第1審判決を破棄する。
 被告人は無罪。」


【平成25年(あ)第3号・判示事項】
「暴力団関係者であるビジター利用客が,暴力団関係者であることを申告せずに,一般の利用客と同様に,氏名を含む所定事項を偽りなく記入した「ビジター受付表」等をフロント係の従業員に提出して施設利用を申し込む行為自体は,申込者が当該ゴルフ場の施設を通常の方法で利用し,利用後に所定の料金を支払う旨の意思を表すものではあるが,それ以上に申込者が当然に暴力団関係者でないことまで表しているとは認められない。そうすると,本件における被告人及びDによる本件各ゴルフ場の各施設利用申込み行為は,詐欺罪にいう人を欺く行為には当たらないというべきである。」





【暴力団関係者を同伴しない旨誓約した事案】
・最高裁平成26年3月28日第二所小廷決定
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第725号・詐欺被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84098&hanreiKbn=02


【平成25年(あ)第725号・主文】
「本件上告を棄却する。」


【平成25年(あ)第725号・判示事項】
入会の際に暴力団関係者の同伴,紹介をしない旨誓約していた本件ゴルフ倶楽部の会員であるAが同伴者の施設利用を申し込むこと自体,その同伴者が暴力団関係者でないことを保証する旨の意思を表している上,利用客が暴力団関係者かどうかは,本件ゴルフ倶楽部の従業員において施設利用の許否の判断の基礎となる重要な事項であるから,同伴者が暴力団関係者であるのにこれを申告せずに施設利用を申し込む行為は,その同伴者が暴力団関係者でないことを従業員に誤信させようとするものであり,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これによって施設利用契約を成立させ,Aと意を通じた被告人において施設利用をした行為が刑法246条2項の詐欺罪を構成することは明らかである。 被告人に詐欺罪の共謀共同正犯が成立するとした原判断は,結論において正当である」



【雑感】
・同日に言い渡された2つの事件で,最高裁の結論が大きく異なった事例。司法試験受験生はよく勉強しておくべき事案でしょう。
・元検事の小貫芳信判事が無罪とした平成25年(あ)第3号の事件で反対意見を書いているので,これもじっくり検討すべきでしょう。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-03-28 23:11 | 刑事事件
<< 所得税法等の一部を改正する法律改正 【労働事件】最高裁平成26年3... >>