とある弁護士のひとりごと

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【過払い訴訟論点】最高裁平成26年6月23日,24日弁論

【遅延損害金最高裁弁論②】

・最高裁判決は平成26年7月24日と7月29日に言い渡されるようです。

・現在,実務ではこの遅延損害金に関する議論でもちきりですが,今回の最高裁判決はあまり今の実務の議論にはそれほど関係ない点についての判断になるかもしれません。いわゆる信義則説・再度付与の議論はされない可能性があります。


【下級審判決】
・原審:仙台高裁平成24年10月10日判決・木下秀樹裁判長
 原々審:福島地裁会津若松支部平成24年3月7日判決・渡邉達之輔裁判官

・原審:名古屋高裁平成24年10月25日判決・長門栄吉裁判長
 原々審:名古屋地裁半田支部平成24年3月6日判決・内山真理子裁判官


【争点】
・争点はいずれも不動産担保証書貸付取引における遅延損害金の適用の可否です。
事案は2つの事例で異なりますが,簡単にいうと,約定支払日までに約定支払金額には届かないが,利息制限法に基づいて引き直しをした利限残の金額を借主は支払っていた場合に,期限の利益を喪失したといえるかです。なお,いずれの事案でも無担保リボルビング取引と不動産担保証書貸付取引の一連性が争われていましたが,最高裁平成24年9月11日判決により,この点は争点ではなくなっています。


【考え方】
・遅延損害金否定(仙台高裁平成24年10月10日判決)
「控訴人(※CFJ)の主張によれば,債務者が利息制限法によって引直し計算をした利息と元金に相当する金額を既に支払っていることを主張立証しているにもかかわらず,元金が残っている限りは,これに対する約定遅延損害金が発生することとなる。しかも,期限の利益喪失約定が文字どおり適用されれば,債務者は,当該遅滞した返済期日の分割金だけでなく,以後に支払うべき残金の全額についても直ちに期限の利益を喪失して支払義務を負い,これに対しても約定遅延損害金が付されることとなり兼ねない。債務者が上記のような主張立証をしているにもかかわらず,控訴人の主張を容れてこのような結果を容認することは,債務者に本来無効であるはずの利息制限法の制限額を超える約定利息の支払を事実上強制することになり,相当とはいい難い。

・遅延損害金肯定(CFJの主張)
①利息制限法が適用される場合にはその分元金への充当額が多くなるにすぎず,同時点での既払額は関係がないのであって,これによって債務者の次回の支払義務を免除するとか,次回弁済期における債務者の弁済についての先払としての効果を認めるものではない(仙台高裁における主張)。
②制限超過部分を含む利息の支払の場合には,支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,期限の利益を喪失することはないから,この場合,期限の利益を喪失したか否かを判断するには,制限超過部分の元本充当状況を毎月計算し,制限利率に従って予定された償還表と対照して弁済期に支払うべき額に足りないことになったか否かを判断する作業が必要となるが,このようなことが必要となれば,金融実務に大混乱を生じさせることは明白である。
したがって,借主が定められた毎月の約定額を超えて支払をした場合に,貸主がその約定額を超えて支払った金員が前倒しで元本に充当されれば,その後の毎月の支払を怠ったとしても,前倒しによる支払いがあったことを理由に期限の利益は失われないと解するのは相当ではない(名古屋高裁における主張)。


【雑感】
・最高裁が弁論を開いたということは,上記遅延損害金肯定説の考え方に立ったということだと思われます。最高裁としては,遅延損害金が付されるか否かが引き直し計算してみないとわからないということになると,実務上混乱をきたすという価値判断から上記②の判断になったのだと思われます。最高裁らしい考え方と言えると思います。

・最高裁がどの程度踏み込んで判断するのかはまったくわかりません。ただ,「不動産担保証書貸付取引における約定金額に満たない利限残金を支払った場合の遅延損害金適用の可否」に限定されるのであれば,実務上あまり影響はでないと考えられます。
・これ以外の判断がされないのであれば,遅延損害金については,結論が異なる2つの最高裁平成21年9月11日判決が生きていることになり,結局,下級審が遅延損害金の適否についての個別的判断を今後もするしかないということになりそうです。できれば最高裁がもっと踏み込んだ判断をしてほしいものです。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-06-26 23:34 | 過払い訴訟論点
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