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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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裁判官に対する不断の監視

【国家権力裁判官に対する不断の監視】
・私は裁判所で訴訟をたくさんやっていますが,裁判官の行動に疑問を持つことが多いです。

・国民は政治家や行政への監視は好んで行いますが,なぜか裁判所を根拠なく信用し,裁判所への批判はあまり行っていないことが不思議でなりません。

・平時で人を合法的に殺せるのは裁判官のみであり,裁判官は人の生命,身体の自由及び財産を強制的に剥奪できる権能を与えられているまさに国家権力そのものです。

・民主主義という言葉を好きな国民は多いですが,その民主主義を正常に機能させるためには,国家権力への国民の不断の監視が必要であるこというまでもありません。
 その国家権力たる裁判所への国民の監視を十分に機能させる必要があるのではないかと日頃考えています。

・最高裁判事には国民審査があり(機能はしていないですが…),下級審裁判官には国民が監視をする制度がほとんどありません。それだからこそ,下級審裁判官は自己の出世に影響を与える控訴審で逆転するかどうかだけを気にして,おかしなことも「訴訟指揮」の名の下に好き勝手しているのが現実です。

・こういうことをいうと,負けたから文句言っているだけではないかと思わるかもしれません。
 しかし,自分が完全に勝訴した事案でも判決でおかしいと感じることは割と多くなってきており,訴訟指揮で法律および規則に反した運用をしていても,裁判所に都合のいいものだけは問題視しないことは非常に多いです(逆に,裁判所に都合の悪いことは絶対に裁判所は許可しない)。
 具体例をあげると,成年後見人の監督は裁判所が負うわけですが,成年後見人が不祥事を犯した場合,裁判所に対する国家賠償はほとんど認めません(1件だけ認めた稀有な判決はこのブログで紹介しました)。
 特にすごいのは,成年後見人の監視は裁判所の人的要員が不十分だから責任は負わないという判決が割とあります。当事者がこのような主張をすれば,裁判所は「それはあなただちのせいでしょ?」「それは過失の自白ですか?」というでしょう。このような裁判所のみ許される特殊な理屈がまかり通ること自体おかしいといえます。
・また,受諾和解は裁判所が都合のいいときは法律を無視するという典型例です。
 双方が東京の当事者なのに,受諾和解の要件は満たすはずがありません。「その他の事由」に含めるのでしょうが,普通に裁判所を駆け回っている支配人がいるのにこの要件を満たすとは思えません。
 100人に1人くらいの頻度ですが,上記のような場合,受諾和解の要件は満たさないので,17条決定(民事調停法17条)でいくといった裁判官はいました。法律を厳格に守っており,気骨のある裁判官だと思いました。なお,当事者の立場では,17条決定は当事者が出頭しなくともできるので,受諾和解よりは17条決定のほうがよいです。

・裁判所は裁判所外の者が何を言おうと無視する傾向が強いため,下級審裁判官への監視を現実的なものにするには,裁判所内部にある機関である必要があると考えています。

・そこで,新たな監視機関を…というと自分たちに不利な機関の設置には消極的でしょうから,今ある組織を改組するほうが現実的だと思います。

・そんな観点から,私が注目しているのは「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」です。
URL:http://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/kakyusaibansyo/

・この組織は知名度がないため知らない方も多いと思います。
 一応設置の趣旨に記載していることを目的にしているようですが,到底機能しているとはいえないでしょう。
そこで,この組織を大幅に改組して不適格裁判官の排除をする機関に変えるべきだと思います。

・まず,委員の名簿に裁判官が入っていること自体がおかしく,御用学者などもメンバーに加えるべきではありません(※今の学者委員が御用学者といっているわけではありません)。
 また,どこの組織でもそうですが,メンバーがいくら外部の人間でも事務局が内部の人間だと事実上操られてしまうので,事務局メンバーは最低限弁護士にするべきです。

・次に,この組織は規則に根拠を持つものですが(下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則),現在の条項では最高裁判所が一意見として聞くにすぎず,これでは裁判所に好き勝手をさせることを容認している内容になっています。
 そこで,この組織を単なる規則上の組織ではなく,裁判所法上の組織として規定し,法的根拠をまず整備し,その発言力を強めます。
 こうすると三権分立に反するのではないかとの疑問がわくかもしれません。しかし,権力分立原理の中で,行政の肥大化を助長するのは問題ですが,国民が裁判所への監視を強めることはむしろ現代社会では要請されていると思います。憲法論的には,多数派の権利を実現するのが国会であるのに対し,少数派の人権を守る裁判所はあえて国民から遠くに置くのが正しいということになりますが,今の下級審裁判所が到底少数派の人権を擁護する機関になっているとは思えません。


・最高裁はかつてと異なり,外部機関へ下級審裁判官の評価を求めるように少しずつなってきました。これは若手盗撮裁判官や法務省に出向させていたエリート裁判官(身分は検事)の法務省内の女子トイレでの盗撮など,不適格裁判官が増えてきたことから,事前排除をしたいという思いがあるのではないかと思います。

・最高裁の上記の姿勢はある程度評価できますが,上記の裁判官が日常不適切な行為の予兆があったといったところで,最高裁はとくに行動はしないでしょう。
 そこで,上記組織を改組する場合は,一般国民からの苦情の申立てを受け付ける機関であることを法定し,申立てがあってもすぐに調査不開始とするのではなく,最低限当該裁判官に答弁書を書かせるよう義務付けるべきだと考えています。
 答弁書を書かせれば認める裁判官も出てきてその場で処分できますし,認めなくとも自分がその対象になっていることを知ればその後の行動を改める端緒になると思います。

・上記私見を述べてきましたが,「権力は常に腐敗する」「権力は不断の監視が必要だ」という普遍のテーマは裁判所にも妥当します。裁判官も退官すれば上記に気づくようですが,退官しない限り,権力に甘えます。
 このブログを読んでいる方も,裁判所でこういうセリフを聞いたことがありませんか?
「私がそう思っているからそうなんです」と。
 これに対し,どういう根拠ですか?と質問すると,黙ってしまう裁判官をよく見ませんか?
もちろん相手にされていないだけかもしれませんが,根拠があればいうべきでしょう。裁判官は反論されることがない立場のため,根拠を聞くと急に慌て出す人も多いです。それに対し,条文をもって反論するととたんに議論をやめます。
 最低限,権力者である以上専権的な判断をする場合は,合理的な根拠を示すべきでしょう。


・最後に,国家権力を持つものとしての合理的な行動を裁判官に期待します。

by lawinfo | 2015-01-27 23:24 | 雑談
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