とある弁護士のひとりごと

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【過払い訴訟論点】特定調停最高裁弁論

【特定調停の無効についての最高裁弁論】
・最高裁が平成27年7月21日午後1時30分から,特定調停後の過払い請求について弁論を開くようです。
・CFJが高裁で負けた事案を上告した事件なので,判決が出れば借主側が逆転敗訴します。


【事案の概要】
・債務者は平成14年6月14日に,新潟簡易裁判所で,当時のユニマットライフとアイクとの間で特定調停をした。ユニマットライフとの間では債権債務なしの支払和解を,アイクとの間では債務が存在しないことを確認する内容だった。アイクは同日,債務者との間で調停外で5000円の残債務があることを確認し,これを同月21日限り支払う旨の和解契約書兼連帯保証契約書を締結した。CFJは,これにより債務者が過払金を放棄したと主張している。

・この事案では,ユニマットライフの特定調停の効力とアイクとの間の調停外合意の効力が問題となっていますが,アイクとの間の特定調停後の調停外合意はアイクのやり方があまりにひどく,債務なしの調停条項と完全に矛盾するもので無効だと考えられます(地裁・高裁ともアイクとの関係では一致)。

・問題はアイクの方ではなく,ユニマットライフとの間の清算条項ありの支払和解の特定調停の効力です。いずれの取引も調停時点では過払いが生じている事案です。


【下級審の判断】
・東京地裁平成25年2月28判決(佐々木清一裁判長)
 調停は公序良俗違反で無効。清算条項のみを有効と解するのは相当でないから,調停は全体として無効。

・東京高裁平成25年6月19日第15民事部判決(井上繁規裁判長)
 同じ理由


【雑感】
・これはひどい原々審・原審判決。こんなの誰が見てもひっくり返る判決。東京地裁・東京高裁でここまでひどい判決が出るとは驚きです。
・借主側を勝たせる理屈が,特定調停の意思表示規定の類推とかであればともかく,よりによって「公序良俗違反」とは…。ちなみに,一審では,原告代理人が要素の錯誤で無効との主張もしているようです。
・以上のようなことから,これでCFJが勝つのは当然で,しかも,もともと特定調停の無効が認められることはあまりなかったことから,最高裁判決が出てもそれほど影響はないと思われます。

・元調査官経験者の東京高裁部長の書く判決ではないでしょう。まあ,全体的に一審をなぞったやる気のない判決なので,興味のもてない事件だったのかもしれません。

・とまぁあまり最高裁の判決も興味がもてない事件ですが,実はまったく関係ない争点があり,その点の判断を最高裁として示すかについては注目しています。
 高裁でCFJが「調停無効を主張する方法について」を控訴理由にしており,調停無効を主張するには,調停無効の訴えを提起するか,続行期日の指定を求めなければならず,それがないから調停は有効だという主張をしています。
 これに対し,東京高裁は調停の合意内容が公序良俗に反する場合,別訴で調停の無効を再抗弁として主張することも許されると判断しています。
 この点をCFJが上告理由としたかは不明ですが,民事訴訟法のくだらない争点として,訴訟上の和解の無効を主張するには別訴提起説か期日指定申立説かという争いがあり,その点について最高裁がコメントするか否かが私の唯一の関心事です。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2015-07-14 23:34 | 過払い訴訟論点
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