とある弁護士のひとりごと

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【予備的相殺の抗弁の可否】最高裁平成27年12月14日判決

【時効消滅したことを条件とする反訴請求事件における予備的相殺の抗弁の可否】
・最高裁平成27年12月14日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(オ)第918号・ 不当利得返還請求本訴,貸金請求反訴事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85543


【事案の概要】
・Xは第1取引と第2取引の間が1年9か月あいていたが,一連を前提に過払金を請求した。貸金業者Yは取引の分断を主張し,第1取引については消滅時効を援用し,第2取引については貸金反訴請求をした。
Xは分断と判断され,第1取引の過払金返還請求権が時効にかかるならば,第2取引の貸金債権と第1取引の過払金返還請求権を対当額で相殺するとの意思表示をした。
・原審東京高裁は取引の分断と判断したが,相殺の抗弁については判断せず,Yの貸金請求等を認容した。


【主文】
「1 原判決のうち被上告人の反訴請求を認容した部分を破棄する。
 2 前項の部分につき,本件を東京高等裁判所に差し戻す。
 3 上告人のその余の上告を棄却する。
 4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。」


【判示事項】
「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,反訴において,当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されると解するのが相当である。」


【雑感】
・原審の東京高裁が相殺の抗弁が許されないと判断したのか,単なる判断をし忘れたのかわかりませんが,当然に相殺の抗弁は許されるでしょう。
・最高裁が重複起訴禁止の点を挙げていることからすれば,これに触れると東京高裁は判断したのかもしれませんが,いずれにしても重複起訴禁止の趣旨に反しないことは明白なので,東京高裁の判断はまったく理解できません。

・まあ,別訴の場合の重複起訴禁止の判例(最高裁平成3年12月17日第三小法廷判決)があるため,本訴の場合は禁止されるのかという議論はありえ,民訴の本には掲載される判例かもしれませんが,まあ当然許されるでしょうというあっさりしたコメントが付される程度の事件でしょうね。


【参照】
・最高裁平成3年12月17日第三小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52737


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2015-12-16 23:23 | 最高裁
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