とある弁護士のひとりごと

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【飲酒禁止】福岡地裁平成28年3月29日判決

【飲酒禁止】
・福岡地裁平成28年3月29日第3民事部判決・青木亮裁判長
(事件番号:福岡地方裁判所平成26年(ワ)第1954号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85945

【請求の趣旨】
「被告は,原告に対し,1円及びこれに対する平成24年5月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」


【判示事項】
「地方公務員の上司は,職員に対し,適正な公務を確保するために必要とされる範囲内で,職務と直接関係しない,身分上の命令を発することができると解される(地公法32条参照)ところ,地方公務員は,信用失墜行為を行わない義務を負っているから(同法33条),上司は,飲酒による不祥事を防止することによって適正な公務を確保するという目的のために,上記のような命令に至らない指導,教育を行うことも当然に許容されると解される。
 そして,教育委員会の職員は,その身分について,原則として地公法の定めるところによるとされており(地教行法22条),教育長は,所属の職員を指揮監督するものとされている(同法20条1項)から,教育長は,市教委所属職員に対し,上記のような命令に至らない指導,教育を行うことができるものと解される。しかし,指導,教育の趣旨目的,経緯,制約される利益の程度,手段としての相当性等を考慮し,当該指導,教育が不合理である場合には,権限を逸脱,濫用したものとして違法になると解すべきである。
 上記認定事実によれば,教育長通知の目的は,所属職員の飲酒に対する意識を改善することによって,職員による飲酒の上での不祥事を未然に防止し,市民からの信頼を回復することにあると認められるが,前記のとおり,福岡市においては,再三の取組にもかかわらず,市教委所属の者を含む職員による飲酒の上での不祥事が続いていたこと,飲酒による不祥事は,飲酒の習慣があれば誰についても起こり得ることからすれば,職員全体が一体となって意識改革を図る必要があったということができ,教育長通知には目的の正当性,必要性が認められる。

 したがって,前記の経緯により教育長が教育長通知を発出した行為が,不合理なものとはいえず,権限の逸脱,濫用があるとはいえない。」


【雑感】
・なんで遅損金も請求しているのか…っと,どうでもいいことが一番気になりました。
請求額が1円なので,これにいくら遅損金を付けてもほとんど金額は変わらず,遅損金を請求する意味はあまりありません。

・この請求額は社会的な耳目を引くこのような事件でなければ,濫訴として却下されてもおかしくない請求金額です。いくら,訴状審査段階で訴えの利益なしとして却下されないようにするためとはいえ,本気度が疑われる(どうせ負けることが最初からわかっている)金額です。

・その割に,原告本人尋問も行われているようであり,裁判所としても意味のある事件として,判決を書きたかったということかもしれません。

・私のような悪党は,2円の受領を事前に原告に書面で求め,受領拒絶された時点で供託し,第1回口頭弁論期日でその証拠を提出して,請求棄却判決を求めると思います(そうすれば,被告は事実関係を争っているとしながらも,その余について判断するまでもなく,弁済がされているから請求棄却だという判決を書く裁判官もいるでしょう)。このような悪党もいることから,このような訴訟のやり方はいずれにしても感心しません。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2016-06-14 23:18 | 損害賠償請求
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