とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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カテゴリ:時事ネタ( 22 )


平成28年司法試験合格発表

・本日,司法試験の合格発表がありました。このようなことにあまりコメントしないのですが,あまりに衝撃的な結果だったので,少しコメントします。

・以下の法務省のHPにある「法科大学院等別合格者数等」を見て,愕然としました。
URL:http://www.moj.go.jp/content/001202510.pdf

・第1に,1頁目の「受験者」欄と隣の「短答式試験の合格に必要な成績を得た者(以下「択一合格者」という)」です。
 最後まで見ると,予備試験合格者の択一合格率が,計算するまでもなく圧倒的であることがわかります。それに比べ,上位法科大学院でも択一合格率が低く,それ以下だと見るも無残な数字です。
 法科大学院修了資格を付与して択一すら合格できないというのは,教育機関としておよそその体をなしていないといって過言ではないでしょう。

・第2に,今回の予備試験合格者の本試験最終合格者235人のうち,法科大学院在学中が86人,大学在学中が69人で,予備試験合格者の中でも本試験の最終合格率が圧倒的に高いです。
 優秀な法科大学院在学生が在学中に予備試験経由で最終合格するというのは,昔からあったわけですが,結局この155人は法科大学院を修了する必要のなかった人たちであり,この層が今回の最終合格者上位を占めている可能性が高いことを考えると,ますます法科大学院の意味がわからなくなりました。

・第3に,今回の一番最後の頁に,「高校卒」の予備試験合格者の結果が載っています。
 この方が高校卒業後すぐの受験だったかはわかりませんが,少なくとも大学には行っていない方で,予備試験経由で,本試験で択一に合格後最終合格できなかった方です。
 おそらく論文の勉強が進んでいなかったと考えられますが,そんな方でも本試験の択一には合格しています。法科大学院の各校はこの事実を重く受け止め,択一合格すら十分にさせられないのに,修了認定していることの意味を真摯に検討してください。なお,専修学校または専門学校出身者の方は今年最終合格されています(その他枠参照)。

・以上からいえることは,以下のとおりです。
①法科大学院を修了している(修了できる学力を備えていると各法科大学院が判断した)ことは,合格率との絡みでは大きな意味はない。
②反面,大学をいったん卒業し法科大学院に入学しない社会人の予備試験経由の最終合格者は,それほど多くはない。
③今後,高校卒業後すぐに予備試験に合格し,本試験にも最終合格する最年少合格者が近い将来でてきそう。

・完全に蛇足ですが,今年,予備試験合格者の方で本試験の択一合格をされた70歳以上の1名の方には敬意を表します。私はその年まで元気でいられる自信はまったくありません。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2016-09-06 23:02 | 時事ネタ

東京地裁高裁アスベスト飛翔事件

【東京地裁高裁アスベスト事件】
・あまりにお粗末な事件が発生しました。

・東京地裁高裁がアスベストの工事をやっていた際に,空調を通じてアスベストを飛散させるという重大事件です。

・これでアスベストによる被害を受けた場合は,この建物を管理している東京高裁事務局長の対応は極めて疑問です。

・裁判所としては業者に任せてあったなどと言い訳をするでしょうが,工事をすれば飛散することは小学生でもわかることであり,工事実施時点で法廷を閉鎖すべきなのは明らかです。

・弁護士会にも法廷閉鎖などの事前通知もなく,マスコミ報道まで連絡もなかったんでしょうから,弁護士会としても直接抗議すべきでしょう。何の役にも立たない無駄がね使いの弁護士会としては少しくらい仕事をすべきでしょう。


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by lawinfo | 2015-12-15 23:47 | 時事ネタ

【弁護士会照会】名古屋高裁平成27年2月26日判決

【弁護士会照会への回答拒絶】
・名古屋高裁平成27年2月26日民事第1部判決・木下秀樹裁判長
(事件番号:名古屋高等裁判所平成25年(ネ)第957号・損害賠償請求控訴事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85055


【事案の概要】
・強制執行を依頼された弁護士が弁護士会に23条照会を申し出,弁護士会は,本件申出を適当と認め,日本郵政(郵便局株式会社)に対し,23条照会をしたところ,日本郵政は,弁護士会に対し,照会を拒絶した。
これに対し,弁護士会らが本件拒絶が不法行為を構成すると主張して日本郵政に対し,損害賠償請求をした。
・1審名古屋地裁は,照会事項の全部について報告を拒絶したことには正当な理由を欠くところがあったが,過失があるとまではいえないとして弁護士会らの請求を棄却したため,弁護士会らは控訴した。


【判示事項】
「前記ウの(ア)と(イ)を比較衡量すれば,本件においては,本件照会事項(1)ないし(3)については,23条照会に対する報告義務が郵便法8条2項の守秘義務に優越し,同(4)については,同項の守秘義務が23条照会に対する報告義務に優越すると解するのが相当である。したがって,本件照会事項の全部について報告を拒絶した被控訴人の対応については,正当な理由を欠くものであり,違法であったといわざるを得ない。 なお,被控訴人は,昭和56年判例の基準に当てはめれば,本件拒絶には正当な理由があった旨主張するが,後記3(2)イで説示するとおり,同判例については,前科及び犯罪経歴に係る23条照会が問題となった事案についての事例判例というべきであるから,転居届に係る本件照会について,同判例への当てはめをするのは相当でない。被控訴人の主張は,採用することができない。」


【雑感】
・弁護士会対日本郵政の構図。現在,弁護士の中ではこの23条照会に対する不当拒絶が問題となっています。その中で一審で負けてしまったこの単位会は情けないですね。
・弁護士会側の「最高裁判所の判例がない場合,高等裁判所の判例がこれに準ずる効力を持つ」という主張を表だってしますかね。確かに事実上このように言われていますが,これを裁判所で堂々というのはどうなんでしょうかね。東京高裁で対立裁判例が出たらどうする気でしょうか。弁護士会側の主張が東京高等裁判所平成22年9月29日判決という事例判決に依拠しすぎていて,全体的にイマイチです。
・いろいろ中途半端な感じになっているので,双方上告して最高裁で決着をつけてほしいところです(実際に上告したかは不明)。


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by lawinfo | 2015-04-22 23:46 | 時事ネタ

【弁護士向け】翻訳サービス利用の注意点

【弁護士向け注意喚起】
・日弁連からメールが回ってきたとおり,弁護士がインターネット上の翻訳サービスを利用したところ,外国人の被告人との連絡文書がインターネット上で閲覧可能な状態になったとのことです。
URL:http://www.ipa.go.jp/about/press/20150220.html


・北千住パブリック法律事務所が,平成23年12月に,メーリングリストで強姦事件の被害者の氏名等の漏洩をしたように,問題が続発しています。このような事態を重く見て細心の注意を払う必要があるでしょう。
URL:http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120314_3.pdf
なお,北千住パブリック法律事務所は公設事務所でありながら,このようなお粗末なことをしでかしたわけですが,その処分が甘すぎて疑問に思っています。

・会員のお金を使って事務所を運営しながら,われわれ弁護士のイメージを悪くするという重大な非違行為に対して,弁護士会として厳しく対応をしないのが不思議でなりません。

・このような大失態を演じたこの事務所が,10周年記念シンポジウムを開催したことにはさすがに失笑しました。
URL:http://kp-lawblog.jp/?page=5


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by lawinfo | 2015-03-02 23:05 | 時事ネタ

厚労省マタハラ新通達

【厚生労働省新通達】
・厚生労働省が,平成27年1月23日,妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達(以下「マタハラ新通達」という)を発出しました。
URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/

・このマタハラ新通達は,【当ブログ】でも取り上げた,最高裁平成26年10月23日判決を受けたものです。

・事業者はこの新通達を熟知し,万が一でも問題だと指摘されないようにする必要があります。


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by lawinfo | 2015-02-21 23:56 | 時事ネタ

【原発運転差し止め】福井地裁平成26年5月21日判決

【原発再稼働と差止請求】
・福井地裁平成26年5月21日民事第2部判決・樋口英明裁判長
(事件番号:福井地方裁判所平成24年(ワ)第394号等・ 大飯原発3,4号機運転差止請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84237&hanreiKbn=04


【判示事項】
「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性,コストの低減につながると主張するが(第3の5),当裁判所は,極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり,その議論の当否を判断すること自体,法的には許されないことであると考えている。我が国における原子力発電への依存率等に照らすと,本件原発の稼動停止によって電力供給が停止し,これに伴なって人の生命,身体が危険にさらされるという因果の流れはこれを考慮する必要のない状況であるといえる。
 被告の主張においても,本件原発の稼動停止による不都合は電力供給の安定性,コストの問題にとどまっている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが,たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても,これを国富の流出や喪失というべきではなく,豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり,これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
 また,被告は,原子力発電所の稼動がCO2(二酸化炭素)排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが(第3の6),原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって,福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害,環境汚染であることに照らすと,環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。」


【雑感】
・結局,本判決は高裁で破棄されることになると思いますが,この判決を言い渡した意味は大きいと思います。
・裁判官としての出世が完全になくなる判決を自分の信念に基づき言い渡されたことには敬意を表したいと思います。


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by lawinfo | 2014-06-05 23:47 | 時事ネタ

【認知症と人身事故】名古屋高裁平成26年4月24日判決

【認知症と人身事故による損害賠償請求】
・名古屋高裁平成26年4月24日民事第3部判決・長門栄吉裁判長
(事件番号:名古屋高等裁判所平成25年(ネ)第752号・損害賠償請求控訴事件)
・原審:名古屋地裁平成25年8月9日判決
(事件番号:名古屋地方裁判所平成22年(ワ)第819号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84175&hanreiKbn=04


【事案の概要】
・認知症の高齢者Cが鉄道の駅構内の線路内に立ち入り,人身事故を起こした後に,鉄道会社がその家族に対し,損害賠償請求をした事案。原審はCの妻A及び長男Bに対しても損害賠償請求を認めた。A及びBが控訴。
なお,判決書の認定(41頁)によると,Cは死亡当時5000万円以上の財産があった。


【主文】
「1 原判決中,控訴人らに関する部分を次のとおり変更する。
2 控訴人Aは,被控訴人に対し,359万8870円及びこれに対する平成22年3月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人の控訴人Aに対するその余の請求及び控訴人Bに対する請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,第1,2審を通じて,控訴人Aと被控訴人との間に生じたものはこれを2分し,その1を控訴人Aの負担とし,その余を被控訴人の負担とし,控訴人Bと被控訴人との間に生じたものは被控訴人の負担とする。
5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。」


【判示事項】
(妻Aの免責事由該当性)
「精神障害上の事由により責任無能力状態にあるCが,監督義務者の不知の間に外出し,その生命や身体に危害が及ぶようなことがないように,Cの監督義務者等が相当な方法でCの行動を監視し,必要に応じてその行動を阻止したり,その行動に付き添ったりするなどのことが許されることは,余りにも当然のことであり,そのような方法として,出入口にセンサーを設置し,Cが出入りする際にそれが作動するようにしておくことが,上記相当の方法を逸脱するものとは到底解することができない。
 以上によれば,控訴人Aについて,民法714条1項所定の免責事由を認めることができない。」


(長男Bの責任)
「Cの介護は,控訴人Aを含む家族ないしは親族間の話合いで円滑になされ,また,Cの財産管理も,現状維持方針の下で控訴人A により従前どおりなされていたため,控訴人らにおいて,Cについて特に成年後見開始申立手続をする必要が意識されることなく経過していたものであって,控訴人らにおいて,ことさらにCに対する成年後見開始申立手続を回避していたような事情はなかったことが認められる。そして,本件事故の開始前においてCについて成年後見開始申立手続がなされていれば,Cについて後見開始審判がなされ,控訴人Bがその成年後見人に選任された蓋然性が大きい状況があったからといって,そのことで,控訴人Bが法的な意味で,Cに対する身上監護に関する権利を行使し,義務を負うものではない上,控訴人Bは,本件事故当時,20年以上も,Cとは別居して生活していたのであるから,そのような控訴人Bをもって,Cの加害行為によって生じた損害について民法714条による賠償責任を負担させるような,Cに対する事実上の監督者に該当するものということはできない。」


【雑感】
・この件は,超高齢化社会を迎える日本において,今後誰もが起こりうる事柄についての司法判断であり,極めて重要な判断といえるでしょう。
・今後,同種事案の裁判例が集積していき,いずれは最高裁が明確な基準を作る時期がくると思います。
・高裁は長男Bの責任を一審とは異なり否定していますが,これは具体的な事情を斟酌して否定したものであり,この手の事案において,妻の責任は認められるが子供の責任は否定されるなどという一般論を展開することはできません。


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by lawinfo | 2014-05-12 23:19 | 時事ネタ

所得税法等の一部を改正する法律改正

【印紙税の非課税範囲の拡大】
・所得税法等の一部を改正する法律により印紙税法が改正され,平成26年4月1日以降に作成される領収証等に印紙税がかからない範囲が拡大されました。

・従来3万円未満非課税→改正法5万円未満非課税


・間違えて収入印紙を貼った場合は,原本を所轄税務署長に示せは,印紙税の還付ができるようです。
URL:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/inshi-2504.pdf


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by lawinfo | 2014-04-01 23:30 | 時事ネタ

【非嫡出子差別規定撤廃】平成25年12月5日民法改正

【非嫡出子差別規定撤廃】
・平成25年12月5日民法が一部改正され,法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)を削除し,嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等になりました。
URL:http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html


【改正規定適用日】
・改正規定が適用されるのは,平成25年9月5日以後に開始した相続です。もっとも,平成25年9月4日の最高裁の違憲決定があることから,平成13年7月1日以後に開始した相続についても,既に遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除いては,嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等のものとして扱われることになります。


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by lawinfo | 2013-12-16 23:48 | 時事ネタ

【生活保護法】平成25年12月6日改正

【生活保護法改正及び生活困窮者自立支援法成立】
・生活保護法が改正されました。
URL:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/183-45.pdf


【雑感】
・改正生活保護法で新設された給付金の制度は,受給者が働いて得た収入の一部を積み立て,保護が終了した際に生活費として支給するという制度です。この制度は実際に生活保護の相談にのっていると,結局働いた分だけ保護費が減額されるなら働く意味はないということをいう生活保護受給者もいるので(誤解がある「※勤労控除」),生活保護を脱して働こうという意欲が生まれるならいい制度かもしれません。今後の運用次第ですが。

・ただ,全体的には申請が難しくなるほか,受給者には厳しい内容になっています。特に,福祉事務所の調査権限の強化によって,受給決定が遅れるのが懸念されます。

・生活保護受給者も相談に携わる弁護士等も本改正法を正しく理解しておく必要があるでしょう。


【※勤労控除】
・改正前でも,「働いたらその分だけ収入認定されて働くだけ無駄」という考えは誤解です。
実際には,勤労収入から勤労控除額や実費が控除されています。
URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ifbg-att/2r9852000001ifii.pdf


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by lawinfo | 2013-12-06 23:13 | 時事ネタ