とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

<   2012年 08月 ( 7 )   > この月の画像一覧


【過払い論点】過払い訴訟における任意和解(債務承認弁済契約)の争い方②

【過払い訴訟における任意和解(債務承認弁済契約)の争い方】

・以前,【7月25日付当ブログ】で取り上げましたが,この論点について裁判所は現在すんなりと消費者側の主張を認めてくれないのが現状です。

 ただ,争い方がないわけではなく,実際に消費者側が勝った判決もあります(数としては負けている方が多いのではないでしょうか)。

・この争点に対する争い方としては錯誤無効で争うのが一般的ですが,裁判官の思考としてはいったん有効に成立した和解契約を覆すことを認めることを嫌うため,錯誤無効一本では主張が強いとはいえません。
 そこで,錯誤無効に加えて,その他の主張をするとよいと思われます。


【その他の法律構成】
・まず,考えられるのが消費者に不利な契約を結ばせたとして消費者契約法10条(※)によりその契約は無効と主張する考えです。
 確かに,情報を十分に与えず圧倒的な交渉力の差のある貸金業者が,消費者の無知に付け込んで清算条項付きの和解契約(債務承認弁済契約)を締結させたという意味では,「民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」といえます。
 ただ,消費者契約法10条は規定の性質が民法の信義則違反や権利濫用といった一般条項のようなものともいえるので,あまり主張としてインパクトはないうえ,裁判所としては消費者契約法10条で認めるくらいなら,一般条項ではない錯誤無効で認めた方がいいと考えると思われることから,あまり有効な主張とは思えません。


【※消費者契約法10条】
「民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」


・そこで,考えられる最善の主張としては消費者契約法4条1項1号(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し※),2項(不利益事実の不告知※)が挙げられます。
ただし,この主張の最大の弱点は,消費者契約法7条1項が消費者契約の締結から5年間及び追認しうるときから6箇月の取消権の行使期間を定めていることから,古い時期に和解をしてしまった場合には主張ができないということです。


【※消費者契約法4条1項1号,2項】
「第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一  重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。」


【消費者側勝訴裁判例】
・横浜地裁平成24年6月26日第6民事部控訴審判決(業者:アイフル)
(事件番号:横浜地方裁判所平成24年(レ)第126号)

・この判決は控訴審判決であり,消費者契約法の適用を明確に認めたものですごく価値のある判決です(控訴審判決としてはおそらく初めての判決でしょう)。
ただ,この裁判長は武富士役員責任追及訴訟で消費者側を勝たせた判決を書いた森義之部長であり,武富士役員責任追及訴訟では平成18年判決以降の引き直し義務を明確に認めた裁判官です。
 両判決とも非常に消費者側としてはいい判決なのですが,裁判所の中で一般的な考え方とは言えず,今後も主流になるか疑問があります(引き直し義務を認める森部長の立場からすれば,平成18年判決以降に約定残高で和解した場合は無効・取消しになるのは当然でしょう)。
 
・以上いろいろ述べてきましたが,錯誤無効の主張だけでは弱いと思いますので,この横浜地裁控訴審判決を紹介したうえで,消費者契約法4条の主張も追加して主張していくことになると思います。
 私としては横浜地裁控訴審判決が認めた4条1項ではなく,2項の不利益事実の不告知が一番しっくりくるのですが。この具体的な主張についてはいずれコメントしたいと思います。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-31 22:34 | 過払い訴訟論点

【過払い論点】クラヴィス→プロミス債権譲渡事案

【クラヴィス→プロミス債権譲渡事案】
・クラヴィス→プロミス債権譲渡事案最高裁判決について【7月13日付当ブログ】で紹介しました。

・記載のとおり納得いかない判断ですが,さすがに最高裁判決が出た以上覆すことは非常に難しい情勢です。


【受益の意思表示ととらえるべき行為の検討】
・最高裁平成24年6月29日判決は,債権譲渡後の借主のプロミスへの弁済行為が受益の意思表示に当たることを否定しました。もともと,弁済の法的性質は準法律行為とされており(事実行為とする説もあり),弁済行為に意思表示を観念することは困難とされてきました。このため,最高裁も弁済行為のみに受益の意思表示を認めることは困難だと判断したものと思われます。


・そんな中で一点注目すべき事実があります。それは,債権譲渡事案にもプロミスに対する「申込み」が存在します。この申込みを受益の意思表示とする考えです。
 プロミスへの債権譲渡後,借主の中にはプロミスに対して「申込書(店頭用)」を提出していることがあります。
 これは,プロミスへの債権譲渡は契約上の地位の移転ではないため,プロミスへ貸主の地位が移転していないことから,プロミスが新たに金銭を貸しつけるためには借主と包括契約を締結する必要があります。
 そのため,プロミスは債権譲渡後,「債権譲渡通知書兼譲受通知書」を借主に送っていますが,この通知書に「今後のお取引は同封のプロミスカードをご利用ください」と記載されており,プロミスと契約を新たにするように促しています。

 以上から,プロミスに対して明確な意思表示をしているこの「申込書(店頭用)」をもって,併存的債務引受に対する受益の意思表示があったとする構成です。

・確かに,あくまでこの申込書は切替事案でもプロミスから証拠提出がされることがあった通常の「借入申込書」であって,受益の意思表示をするとも過払金という文言も記載されていません。
 ただ,債権譲渡通知書兼譲受通知書には「紛争等の窓口は、プロミスとなりますことを、あわせて連絡します。」と記載されており,借主はこの通知を受けてプロミスに対し申込みしているのため,この申込みを受益の意思表示とすることは可能と思われます。
 そもそも,切替事案の「残高確認書兼振込代行申込書」にも,過払金や受益の意思表示という文言は一切存在しません。
 そこで,借主側として主張しうるとすればここしかないと考えています。ただ,この申込書は,ただの借入申込書なので,裁判所が受益の意思表示を認めることはかなり困難と思われます。


【注意】
・以上が私の考えた受益の意思表示を認める構成ですが,注意すべき点があります。

・債権譲渡事案を数多く見てきましたが,債権譲渡事案の中には債権譲渡後借入れが一切なく,弁済しかない事案も非常に多かったのです。
 つまり,このような事案ではそもそも債権譲渡後プロミスと契約していないため,借主はプロミスに対して「申込書(店頭用)」を提出していません。
 そのため,上記議論が当てはまらず,受益の意思表示をすることはできません。

 私が見てきたところでは,突然債権譲渡の通知を来て驚いたのか,債権譲渡後プロミスに対して申込書を提出し,包括契約を締結した事例はあまりありませんでした。
 そのため,取引履歴を見て債権譲渡後にプロミスからの借入れがなければ,上記議論は当てはまりませんのでご注意ください。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-27 20:06 | 過払い訴訟論点

【貸金業者の対応】アイフルの対応②

・以前取り上げたアイフルの続報です。

・アイフルが和解金額を下げなければ本人に調停を申し立てると言っていましたが,本当に複数申し立てられました。

・事件名は債務弁済協定調停事件で,借主住所地に申し立てています。

・アイフルは人員削減を進めているので出頭できるとは到底思えませんが,別の意図があるから出頭しなくても問題ないということでしょうか?


・提案は分断期間の長さに関係なく,頁切替をしているところで分断主張をし,分断前提で善意で計算された金額の一律4割です。
 ここまで具体的な提案をしてあるのであれば返還時期も当然明記すべきですが,返還時期は「本件調停にて定める」です。

・調停は出頭する必要もなく,不調にすればいいので問題ないのですが,家族秘密の依頼者にとっては債務整理をしていることが家族にバレるという不利益が生じる可能性があります。
 ご注意ください。
 

※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-15 22:48 | 貸金業者の対応

【ひとりごと】京都地裁第●民事部部総括判事

【珍しい判決】
8月2日付当ブログでアイフルの対応について述べました。

・そのアイフルの事件で判決をとり,全面勝訴だったのですが,かなり不満のある判決をもらったので紹介します。

・京都地裁平成24年8月8日第1民事部判決
(事件番号:京都地方裁判所平成24年(ワ)第680号)
主文
「4 ただし,被告が,180万円の担保を供するときは,その仮執行を免れることができる。」

・裁判所が過払い訴訟で仮執行免脱宣言を付すことはめったにありません。
 要は,裁判所は面倒だから(?)強制執行なんかするなということでしょうか。アイフルについては素早い回収が重要な時期にこのような判決は極めて不満です(なお,アイフルには現在全件控訴されており,早期の回収はできていません)。

・みなさんも,京都地裁の1部の部長にあたったら,「仮執行免脱宣言は付する理由はまったくなく極めて不当である。」と書面に記載しておくべきでしょう。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-11 20:24 | 雑談

【武富士役員責任追及訴訟】横浜地裁判決②

【武富士役員責任追及訴訟・横浜地裁平成24年7月17日第6民事部判決】
8月6日付当ブログでも紹介したとおり,横浜地裁第6民事部は,平成24年7月17日,武富士の旧役員に対する不法行為責任を認める判決を言い渡しました。


【事案の概要】
・原告A~Fが株式会社武富士の取締役であった被告に対し,不法行為または会社法429条1項に基づき損害賠償請求をした事案。被告は平成16年6月29日から平成22年5月17日まで武富士の代表取締役だった。


【判決の結論】
・原告A:請求棄却
 第1取引は平成7年9月1日まで,第2取引は平成9年7月28日から平成15年3月10日まで,第3取引は平成17年8月31日以降に分かれ696日,905日の中断期間がある。
 第1取引と第2取引は平成18年判決以前に終わっているから不法行為とはならない。
 第3取引だけだと引き直し計算をしても債務が残るので,不法行為とはならない。
・原告B~F:一部請求認容
 原告B・C・F:平成18年判決以降も取引があり,平成19年10月7日の時点では債務がなくなり過払金が生じていた→平成19年10月7日以降の弁済金が損害
 原告D:第1取引は平成7年9月1日まで,第2取引は平成13年10月25日以降の取引で2246日の中断期間がある。
 第1取引は平成18年判決以前に終わっているから不法行為とはならない。
 第2取引は平成18年10月30日時点では債務がなくなり過払金が生じていた→平成19年10月7日以降の弁済金が損害
 原告E:平成18年判決以降借入れなし→平成18年10月30日以降の弁済金が損害


【判示事項】
・平成17年4月1日~平成18年3月31日の事業年度における有価証券報告書の記載からすると,武富士は,平成18年判決により,多数存在する顧客の取引のほぼすべてについて,みなし弁済が成立する余地がほぼなくなったことを十分に認識していたと認められ,武富士の代表取締役であった被告も,遅くとも,上記有価証券報告書が関東財務局長に提出された平成18年6月30日の時点では,そのことを認識していたと認められる。
・平成18年6月30日の時点で,貸金業者である武富士の代表取締役であった被告においては,顧客に対する貸金の残高がいくらであるかどうかについて確認することが求められていたといえる。そして,同残高は,引直計算をすれば判明する。
・同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,過払金が,弁済当時存する借入金債務に充当されることは,最高裁平成13年第1023号,第1033号平成15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁(以下「平成15年判決」という。)により明らかであり,過払金が弁済当時存しない借入金債務にも充当されることは,最高裁平成18年第1887号平成19年6月7日第一小法廷判決・民集61巻4号1537頁(以下「平成19年判決」という。)によって明らかになっている。
・引直計算に一定の時間が必要であるとしても,現に更生手続を進めるに当たって引直計算がされており,更生手続開始の申立てから引直計算の終了までは,約1か月(平成22年9月28日から同年10月末まで)であったこと,武富士は,金融庁の貸金業法施行規則の改正案の公表の8日後に同改正案に対応するためのプロジェクトを立ち上げ,その約4か月後には,従業員に対する指導を行っていると認められることなどの事情に照らすと,約4か月あれば,引直計算を行うことは十分可能であったと認められる。
・これらのことからすると,武富士及び被告は,平成19年判決がされた4か月後である19年10月7日の時点以降は,引直計算をして,貸金債権の存否を確認することが十分可能であり,それをすべきであったにもかかわらず,それをせずに,貸金の請求をし,弁済を受けていたから,その時点で貸金債権が存在しない顧客については,通常の貸金業者であれば貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを容易に知り得たにもかかわらず,あえて顧客に対して貸金の返還を請求し,弁済を受領していたと認められる。
したがって,被告において,武富士が平成19年10月7日以降に貸金債権が存在しない顧客に対して貸金の返還を請求し弁済を受領した行為は,不法行為を構成すると認められる。
・平成18年判決以後に貸付けのない事案では,貸金債権があるかどうかは,平成18年10月30日の段階で,引直計算によって明らかにすることができたから,平成18年10月30日から平成19年10月6日までに顧客に対して貸金の返還を請求し弁済を受領した行為についても,不法行為を構成すると認められる。


【評釈】
・まず感じたことは,弁護士の立場からすると「代表取締役の認識の立証はかなり大変」という印象がありますが,この判決は公表されている有価証券報告書と最高裁判決という極めて立証のしやすいもので事実認定をしてくれていて,すごく立証がしやすいといえます。
・次に,この判決は明確に貸金業者の引き直し計算義務を認めていますが,ここまでいう判決は見たことがないですね。実際にみなし弁済規定が廃止された平成18年改正(施行は平成20年)がされるまでは,グレーゾーン金利として認められており実際に約定残で取引が行われていた現実があるのに,引き直し計算義務まで認める点は画期的といえます(画期的であるがゆえに,ここまではっきり判決に書いてしまうと高裁で逆転する可能性がでてきて怖いですが…こうはっきりいえるのは最高裁だけというのがこれまでの実務だったので)。
・ただ,この判決は平成15年7月18日判決(※)と平成19年6月7日判決(※)を大変重視し,これらの判決により充当関係等過払いの最高裁判例が固まったと考えているように読めますが,これらの判決を基準として4か月後とするのは線引きの仕方としては違う考えもあるように思えます。
・この訴訟は原告6名がそれぞれ事案が違ったので,裁判所の考えがよくわかり助かります。この判決を前提としても,責任が否定される人の説明がしやすいのでいいのですが,責任が否定される依頼者にその違いを納得してもらうのは難しそうです。


【※最高裁平成15年7月18日判決・最高裁平成19年6月7日判決】
・最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決・民集57巻7号895頁
(事件番号:最高裁判所平成13年(受)第1032号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52323&hanreiKbn=02
「同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付けが繰り返される金銭消費貸借取引において,借主が一つの借入金債務につき利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払い,この制限超過部分を元本に充当してもなお過払金が存する場合,この過払金は,当事者間に充当に関する特約が存在するなど特段の事情のない限り,民法489条及び491条の規定に従って,弁済当時存在する他の借入金債務に充当され,当該他の借入金債務の利率が利息制限法所定の制限を超える場合には,貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない。」

・最高裁平成19年6月7日第一小法廷判決・民集61巻4号1537頁
(事件番号:最高裁判所平成18年(受)第1887号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34782&hanreiKbn=02
「同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており,同契約には,毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ,利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって,これに基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては,上記基本契約は,同契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。」


【控訴審】
・本判決は控訴審で逆転し,原告側の完全敗訴になりました。

※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-08 19:27 | 時事ネタ

【武富士役員責任追及訴訟】横浜地裁判決①

【武富士役員責任追及訴訟・横浜地裁平成24年7月17日判決】
・新聞でも騒がれた武富士旧役員責任追及訴訟の横浜地裁判決がもう最高裁判所のHPに掲載されていましたのでご紹介いたします。
この判決の詳細な分析はいずれやりますが,今回は紹介だけです。


・横浜地裁平成24年7月17日第6民事部判決
(事件番号:横浜地方裁判所平成22年(ワ)第6906号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82481&hanreiKbn=04


【雑感】
・いや~おどろきの判決ですね。役員の不法行為責任を肯定する判決がここまでしっかりとした判決で出るとは思いませんでした。特に最高裁平成21年9月4日判決(※)は最高裁平成18年判決以前のもので,平成18年以降の貸金の請求について不法行為に基づく損害賠償請求をする本件とは事案が異なると明確に述べたのは本当に驚きです。
・しかも何より驚いたのは,本件の部総括判事である森義之部長は若くして最高裁民事局付となり(この時点で最高裁が将来を期待していたことがわかる),平成15年から平成18年まで最高裁判所調査官をしたスーパーエリート判事です。このようなエリート判事は通常,出世のことを考え無難な判決を書くことに終始しがちですが,ずいぶん思い切った判決を書いたなぁという印象です。
・今後,この流れが続くか否かは①全国で行われている武富士役員責任追及訴訟の判決がこの横浜地裁判決に続くか,②そして何より,この横浜地裁判決に対し控訴された東京高裁が控訴棄却判決を言い渡すか否かです。
・東京高裁で何部に係属するかも判決に影響が与えそうです。どんな結論が出ようとも最高裁判所までいく事案なので,これからも注視していきたいと思います。


【※最高裁平成21年9月4日判決】
・最高裁平成21年9月4日第二小法廷判決・民集第63巻7号1445頁
(事件番号:最高裁判所平成21年(受)第47号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37954&hanreiKbn=02
「一般に,貸金業者が,借主に対し貸金の支払を請求し,借主から弁済を受ける行為それ自体は,当該貸金債権が存在しないと事後的に判断されたことや,長期間にわたり制限超過部分を含む弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって直ちに不法行為を構成するということはできず,これが不法行為を構成するのは,上記請求ないし受領が暴行,脅迫等を伴うものであったり,貸金業者が当該貸金債権が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にその
とを知り得たのに,あえてその請求をしたりしたなど,その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られるものと解される。この理は,当該貸金業者が過払金の受領につき,民法704条所定の悪意の受益者であると推定される場合においても異なるところはない。」


【控訴審】
・本判決は控訴審で逆転し,原告側の完全敗訴になりました。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-06 21:22 | 時事ネタ

【貸金業者の対応】アイフルの対応①

【アイフルの対応】
・独立系の武富士が破綻し,もう一つの独立系として注目の集まるアイフル。
近時,弁護士のメーリングリストでもいろいろと動きがあることが報告されています。

・私としては去年の危機と言われた時期を乗り越え,判決を取れば過払金の支払いが割とスムーズに支払われていたことから,もう大丈夫かなと思っていました。

・ところが,今年の7月になって弁護士事務所にアイフル本社のそれなりの地位にある人が挨拶回りをしたり,かなり露骨なこともするようになってきているようです。

・アイフルは厳しい事務所に対しては,昔から移送申立てや無駄筋控訴(しかも控訴に伴う強制執行停止の申立てをして担保にかなりの金を払う…その金があるなら払えよ…)はしてきていました。ところが,聞いたところでは(真偽不明),被告住所地である京都地裁に訴訟提起したものを原告住所地に移送申立てをしてきたり,家族秘密事案であえて依頼者本人に調停申立てをし,依頼者本人に調停申立書を送達させ家族に秘密がバレるというようなことをやるといってきているようです。

・移送申立てや控訴くらいなら受けて立つといいたいところですが,家族に絶対に秘密という人は結構いらっしゃるので調停申立はちょっと厳しいですね…。
ただ,一人暮らしをしているような場合を除き,債務整理は依頼者1人の債務整理というよりは,家計全体の債務整理という意味合いが強いので,「家族に秘密で本当に債務整理ができるのか?」というのが私の持論です。
私としては,債務者としてもアイフルのいいなりになるのではなく,これを機に家族に話をし,しっかり「家計全体の債務整理」をした方がいいのではないかと思います。

・なお,アイフルの支配人の話では,CMを出せているから大丈夫だと法律事務所から言われるが,あれは銀行団から新規の顧客獲得のために嫌々やらされているだけで,CMを出しているからといって大丈夫というわけではないとのことでした(真偽は不明です)。ただ,破綻した武富士も破たん直前までテレビCMはしていましたので,CMを出せているから大丈夫とまではいえないような気がします。

・いずれにしても,アイフルに関しては(毎年言われているような気はしますが…)来年あたりに動きがあるかもしれません。

・何でもアイフル自体は破産はやらないというようなことを言っているらしいので,会社更生・民事再生,会社分割あたりを考えているのかもしれません。いずれにしても,その手続きをとった後,某悪質会社にだけは経営権を譲渡してほしくないものです。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2012-08-02 20:42 | 貸金業者の対応