とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【労働】短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大

【短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大】

・公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律が,平成24年8月10日に成立し,同月22日に交付されました(平成24年法律第62号)。


・非常に重要な改正のある法律で,主要な改正点は以下のとおりです。
①老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に大幅に短縮。
②基礎年金国庫負担1/2の恒久化される「特定年度」を平成26年度とされた。
③短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大(※平成28年10月施行)
④厚生年金、健康保険等の産休期間中の保険料免除
⑤遺族基礎年金の父子家庭への支給開始(「子のある妻」から「子のある配偶者」へ変更)


・詳しくは下記厚生労働省のHPを参照してください。
URL:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/topics/2012/dl/0829_01_01.pdf


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by lawinfo | 2012-11-29 23:35 | 労働事件

【否認権】クラヴィス破産管財人からプロミスへの否認権行使問題②

【クラヴィス破産管財人からプロミスへの否認権行使問題その後】

・以前,【9月28日付当ブログ】でこの問題を取り上げました。

・クラヴィスのHPにその後の続報が出ていたので,ご紹介いたします。
URL:http://www.clavis-kanzai.jp/guildsiryo/20121115.pdf

・どうやら,クラヴィス破産管財人はSMBCコンシューマーファイナンスと任意の交渉がつかなかったらしく,破産管財人はSMBCコンシューマーファイナンスに対し,平成24年11月14日付で否認権行使して大阪地方裁判所に訴訟を起こしました。
(事件番号:大阪地方裁判所平成24年(ワ)第12261号・否認権行使等請求事件)


・以前も述べましたが,破産管財人はクラヴィスの過払い債権者に配当できるよう,手を抜かず徹底的に回収に努めてほしいところです。


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by lawinfo | 2012-11-23 23:36 | 時事ネタ

【児童相談所の責任】横浜地裁平成24年10月30日第6民事部判決

【児童相談所の責任を認めた横浜地裁判決】

・横浜地裁平成24年10月30日第6民事部判決(森義之部総括判事)
(事件番号:平成21年(ワ)第2425号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82735&hanreiKbn=04


【事案の概要】
①栄養・医療ネグレクトがあるなどと通告された両親が,横浜市北部児童相談所がした子供の一時保護決定及び再一時保護決定等が違法であるとして,被告独立行政法人国立成育医療研究センターに対しては債務不履行又は不法行為に基づき,被告横浜市に対しては国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,それぞれ,損害賠償と遅延損害金を請求し,
②横浜市中央児童相談所(現:西部児童相談所)の職員が誤ってアレルギー源の卵を含む竹輪を上記両親の子供に食べさせたため,アナフィラキシーショックにより子供が死亡したとして,両親が被告横浜市に対し,国賠法1条1項に基づく損害賠償と遅延損害金を請求した事案


【争点】
1 本件通告の違法性等
2 本件一時保護決定,本件再一時保護決定等の違法性
3 中央児相の職員の過失及び子供の死因
4 損害の存否及びその金額


【判決】
①は棄却 ②は一部認容


【雑感】
・児童相談所の責任を認める判決はあまりありません。児相に問題があっても,裁判所は行政の責任を認めたがらないので,なんだかんだ理由をつけて責任なしとするのが通例です。特に今回は虐待が疑われる親から子供を救った行政の責任を問うたという意味で,一層行政側を助けたくなる事案であったともいえます。

・ただ,記録を見たわけではないので詳しくはわかりませんが,横浜市が担保を条件とする仮執行免脱宣言を申し立てていることからすれば,少しは責任があるかもという態度で訴訟追行していた可能性があります。

・私が本件が「横浜地裁」の判決と知った瞬間,おそらく森部長の判決だろうなと予想しました。

・この森部長は【武富士役員責任追及訴訟】や過払金返還請求事件で和解契約が問題となった事案で【消費者契約法4条の取り消しを認めた】(おそらく地裁レベルの初めての判決)を書いた元最高裁調査官の裁判官です。この人が部長でなかったら(あるいは横浜地裁の他の部に事件が係属していれば)原告の請求は認められなかっただろうなというほど画期的な判決を連発している裁判官です。

・こういう柔軟な思考を持った人が裁判官の中でも上にあがっていけば,裁判官の事なかれ判決が少なくなると思いますが,裁判官の中で最も出世するエリートは「司法行政」を主に行っている裁判官です(裁判官の経歴の中でほとんどが司法行政という人もいて,ここまで来ると裁判官というよりは行政官といった方が適切かもしれません)。

・これまでは,こういう画期的な判決を書く地裁裁判官がいても,大概は東京高裁が最高裁の方ばかりを見て,地裁判決をつぶしてきました(特に,刑事事件で1審無罪,2審逆転有罪で冤罪事件が多数発生してきたことは記憶に新しいところだと思います:マイナリさんの事件等)。

・最近は司法内部でもいろいろ感覚が変化していることがあり,このような思い切った判決を書く森部長のような裁判官が裁判所の中で今後重要な地位を占めることを一弁護士として期待しています。


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by lawinfo | 2012-11-21 23:52 | 行政訴訟

【成年後見人と親族相盗例】最高裁平成24年10月9日決定

【刑法244条1項(本件は255条準用事案)の親族相盗例についての最高裁決定】

・最高裁平成24年10月9日第二小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成24年(あ)第878号・業務上横領被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82627&hanreiKbn=02

【争点】
・家庭裁判所から選任された成年後見人され,成年被後見人の養父である被告人が,後見の事務として業務上預かり保管中の成年被後見人の預貯金を引き出して横領した場合に,親族相盗例の趣旨に鑑み,量刑上考慮されるか。


【※親族相盗例】
「第二百四十四条  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。」


【主文】
「本件上告を棄却する。」


【決定理由】
「家庭裁判所から選任された成年後見人の後見の事務は公的性格を有するものであって,成年被後見人のためにその財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているのであるから,成年後見人が業務上占有する成年被後見人所有の財物を横領した場合,成年後見人と成年被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があっても,同条項を準用して刑法上の処罰を免除することができないことはもとより,その量刑に当たりこの関係を酌むべき事情として考慮するのも相当ではないというべきである」


【雑感】
・まあ,そりゃそうですね。成年後見人は公的・客観的立場で職務行使する義務があり,親族関係に基づいて職務行使しているわけではないですからね。量刑上酌むべき事情には当たらないでしょうね。


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by lawinfo | 2012-11-19 23:47 | 刑事事件

【特定商取引法改正】訪問購入も規制対象に

【特定商取引に関する法律の一部を改正する法律】

・現行の特定商取引法の6類型(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引)に,7番目の取引類型として「訪問購入」を追加。


【背景】
・貴金属等の訪問買取りについての相談が消費者生活センターへに多く寄せられたため。
詳しくは,下記消費者庁HPを参照してください。とにかくしつこく言ってくる業者が多いようです。
URL:http://www.caa.go.jp/trade/pdf/111209kouhyou_1.pdf


【訪問購入への対処法】
・業者には契約書面等の交付義務が課されており,この契約書面交付から8日間はクーリングオフができます。


・さらに詳しい情報は下記消費者庁HPを参照してください。
URL:http://www.caa.go.jp/trade/index.html#m05


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by lawinfo | 2012-11-16 23:23 | 消費者問題

【承継的共同正犯】最高裁平成24年11月6日決定

【承継的共同正犯原則否定・最高裁決定】
・ 最高裁平成24年11月6日第二小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成24年(あ)第23号・傷害,強盗,建造物侵入,窃盗被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82708&hanreiKbn=02


【争点】
・共謀加担後の暴行が共謀加担前に他の者が既に生じさせていた傷害を相当程度重篤化させた場合の傷害罪の共同正犯の成立範囲


【主文】
「本件上告を棄却する。
 当審における未決勾留日数中230日を本刑に算入する。」


【法廷意見】
「被告人は,Aらが共謀してCらに暴行を加えて傷害を負わせた後に,Aらに共謀加担した上,金属製はしごや角材を用いて,Dの背中や足,Cの頭,肩,背中や足を殴打し,Dの頭を蹴るなど更に強度の暴行を加えており,少なくとも,共謀加担後に暴行を加えた上記部位についてはCらの傷害(したがって,第1審判決が認定した傷害のうちDの顔面両耳鼻部打撲擦過とCの右母指基節骨骨折は除かれる。以下同じ。)を相当程度重篤化させたものと認められる。この場合,被告人は,共謀加担前にAらが既に生じさせていた傷害結果については,被告人の共謀及びそれに基づく行為がこれと因果関係を有することはないから,傷害罪の共同正犯としての責任を負うことはなく,共謀加担後の傷害を引き起こすに足りる暴行によってCらの傷害の発生に寄与したことについてのみ,傷害罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。」


【千葉勝美裁判官の補足意見】
「一般的には,共謀加担前後の一連の暴行により生じた傷害の中から,後行者の共謀加担後の暴行によって傷害の発生に寄与したことのみを取り出して検察官に主張立証させてその内容を特定させることになるが,実際にはそれが具体的に特定できない場合も容易に想定されよう。その場合の処理としては,安易に暴行罪の限度で犯罪の成立を認めるのではなく,また,逆に,この点の立証の困難性への便宜的な対処として,因果関係を超えて共謀加担前の傷害結果まで含めた傷害罪についての承継的共同正犯の成立を認めるようなことをすべきでもない。」
「承継的共同正犯において後行者が共同正犯としての責任を負うかどうかについては,強盗,恐喝,詐欺等の罪責を負わせる場合には,共謀加担前の先行者の行為の効果を利用することによって犯罪の結果について因果関係を持ち,犯罪が成立する場合があり得るので,承継的共同正犯の成立を認め得るであろうが,少なくとも傷害罪については,このような因果関係は認め難いので(法廷意見が指摘するように,先行者による暴行・傷害が,単に,後行者の暴行の動機や契機になることがあるに過ぎない。),承継的共同正犯の成立を認め得る場合は,容易には想定し難いところである。」


【若干の考察】
・受験時代に好きだった承継的共同正犯の事案。この論点については,今まで明示的な最高裁判例はなく,最高裁による判断が待たれていました。
・ただ,この承継的共同正犯の議論は,原則否定・例外肯定説が多かったので,この最高裁決定でこの議論に終止符が打たれたものではなく,今後,同種事案の集積を待つ事になると思われます。

・近時の刑事事件の最高裁判例の中では,本決定は高裁の事実認定の仕方についての最高裁判例に次いで重要な決定といえます。特に,司法試験受験生には必須の事件です。今後傷害罪についての承継的共同正犯の事例が司法試験に出題された場合,承継的共同正犯を認める結論を書いた場合には,間違いなく大幅減点でしょうし,最高裁補足意見で「承継的共同正犯の成立を認め得る場合は,容易には想定し難い」とまで言いきっていることからすれば,傷害罪で安易に承継的共同正犯を認めてしまうことは明確な誤りとさえいえるでしょう。受験生は注意が必要です。

・千葉勝美裁判官の補足意見によって,立証が困難だから安易に承継的共同正犯を認めるという下級審への警鐘を鳴らしたという意味では,とても意味のある最高裁決定だったと思います。

・最高裁は,量刑事情から結論としては刑事訴訟法411条(※)を適用せず,同法414条,386条1項3号を適用し,原判決を破棄していませんが,「被告人の共謀加担前にAらが既に生じさせていた傷害結果を含めて被告人に傷害罪の共同正犯の成立を認めた原判決には,傷害罪の共同正犯の成立範囲に関する刑法60条,204条の解釈適用を誤った法令違反があるものといわざるを得ない。」と述べていることから,この決定は実質的には破棄判決といえるでしょう。

・余談ですが,私はこのような明らかな法令違反があった場合には刑事訴訟法411条を適用すべきで,原判決を破棄しない法律の規定及び運用には反対です。
明らかな「法令違反」を国家機関たる裁判所が犯したのにもかかわらず,そのまま破棄しないことは甚だ疑問です。
その意味では,刑事訴訟法411条1号から「判決に影響を及ぼすべき」という文言は削除すべきだと思います。


【※刑事訴訟法411条】
「第四百十一条  上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
一  判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
二  刑の量定が甚しく不当であること。
三  判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
四  再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
五  判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。」


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by lawinfo | 2012-11-13 23:28 | 刑事事件

【貸金業者の対応】アイフルの対応④

【アイフル決算資料】


・最新の決算資料(自平成24年7月1日 至 平成24年9月30日)はこちら
URL:http://www.ir-aiful.com/japanese/finance06.cfm

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by lawinfo | 2012-11-12 23:47 | 貸金業者の対応

【貸金業者の対応】アイフルの対応③

【アイフル過払金返還情報】

・当方が扱った事件で,1審勝訴後の控訴審で,アイフルが結審後判決期日直前に今月控訴を取り下げてきた件は,来週中に支払日までの利息をつけて支払うという連絡がありました。
(この件は,控訴を取り下げたので確定した件です。この点で差異があるか否かはわかりません)


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by lawinfo | 2012-11-09 22:11 | 貸金業者の対応

【労働契約法改正】有期労働契約から無期労働契約への転換

【平成24年労働契約法改正】

・平成24年8月10日,「労働契約法の一部を改正する法律」が公布され,重要な変更があったため,紹介します。
URL:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/


【改正点】
①有期労働契約が反復更新されて5年を超えたときは,労働者の申込みにより,期間の定めのない労働契約に転換することができる。
※別段の定めのない限り,申込時点の有期労働契約と同一の労働条件になる。

②これまでの判例法理で認められてきた雇止め法理の法定化

③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止


【改正後の労働契約法の条文】
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
「第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。」

(有期労働契約の更新等)
「第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。」

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
「第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」


【若干の解説】
・今回の労働契約法の改正により,有期労働契約を結んでいた労働者が5年を超えて労働契約を更新すれば,無期労働契約に転換することができることになり,不安定でいつ使用者に切られるかわからないという労働者の不安を取り除くことができるようになります。

・②については,この法律が公布された平成24年8月10日にすでに施行されています。
①と③については,平成25年4月1日から施行されます。


・上記の内容について,厚生労働省の下記HPにわかりやすい記載がありますので,ご参照ください。
URL:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/h240829-01.pdf


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by lawinfo | 2012-11-08 23:47 | 労働事件

【無罪判決】平成24年10月19日痴漢事件横浜地裁判決

【平成24年10月19日痴漢事件横浜地裁無罪判決】

・平成24年10月19日,横浜地方裁判所第5刑事部は,神奈川県迷惑行為防止条例違反被告事件で,無罪判決を言い渡しました。
・横浜地裁平成24年10月19日第5刑事部判決
(事件番号:横浜地方裁判所平成23年(わ)第1583号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82687&hanreiKbn=04

・このブログでは,今後の刑事裁判の参考にするため,刑事事件における無罪判決事案を極力取り上げていきたいと思います。


【公訴事実】
「被告人は,平成23年5月17日午前7時6分頃から同日午前7時14分頃までの間,B駅からC駅に至るまでの間を走行中の電車内において,乗客のD(当時14歳)に対し,同人の後方に立ち,衣服の上からその腰部付近に自己の股間を押しつけ,もって公共の乗物において,人を著しく羞恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような方法で,衣服の上から人の身体に触れる行為をしたものである。」(一部略)


【主 文】
「被告人は無罪」


【本件特殊事情】
・本件被害者は両親に反対され,公判廷での証言を拒否。被害者本人の検察官調書は,刑事訴訟法321条1項2号前段(※)の「供述不能」の要件を満たさず,証拠請求が却下されています。


【※刑事訴訟法321条1項2号前段】
「被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
二  検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。 」


【雑感】
・記録を読んでいないので何とも言い難いところはありますが,この種の痴漢事案で無罪というのは実務家の感覚では「勇気のある判決」という感じです。
 特に,被害者は女子中学生という絶対的に守るべき対象で,警察官2名が現認したという固い事案では,なかなか無罪判決は出ないのが現状です。
 そのため,痴漢冤罪にあった場合の男性の対処法としては,「逃げることが一番」ということを冗談で言う人もいるくらいです。この意味を誤解をされたくないのですが,実際に無罪判決が出ることは現実にはないので,本当に痴漢をやっていないのであればその場にいれば冤罪に陥れられるという意味です。

・ただ,最近我々実務家としても「無罪判決が増えてきたなぁ」と漠然と感じています。
それは,大阪地検特捜部主任検事証拠改竄事件で,現職特捜検事が証拠の偽造をするという極めてショッキングな事件があったことにより,刑事裁判官も検察官の言うことをただ聞いているだけでは危険だと思ったことが大きいのではないかと思います。

・本件はその流れの中での事件で,警察官二人の証言の信用性を否定し,無罪判決を言い渡しています。この判決を言い渡した毛利晴光裁判官は司法研修所の元刑事裁判教官で,研修所の教官経験者が無罪判決を言い渡すことは一層少ないと思われます。
 ただ,(この事件が控訴されたかはわかりませんが)東京高裁は地裁の無罪判決を破棄することが非常に多い裁判所で,今後の展開も注目していきたいと思います。

・実際に刑事弁護を行っている弁護士として一つだけ強調したい点があります。それは,「本当に事件に関わっていない人は,事件の詳しい事情がいえない」ということです。裁判官及び検察官の基本的思考は「違うというのであれば,違うという理由を具体的・合理的に言えるはずだ」という点です。
これが具体的・合理的に言えないと「不合理な弁解に終始しており,反省していない」と決めつけられてしまいます。
 しかし,これまでの冤罪事件でも明らかなとおり,本当にやっていない人の事件についての詳しい供述調書が出てくること自体おかしいのです。
・本件で評価したいのは,被告人の供述の信用性に疑問を投げかけながらも無罪としている点です。
正直言って,私も,かなり前の日の詳しい行動を説明しろと言われても,覚えておらず,そこに合理的で矛盾のない供述なんて到底できません。それができないからといって,「不合理な弁解に終始しており,反省していない」と言われても,それはムリな要求をしているにすぎません。

・刑事ドラマを見る際は,否認している被疑者・被告人が合理的で矛盾のない供述をしていたら,むしろ「これ言わせてるだろ!」と思ってください。


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by lawinfo | 2012-11-05 23:47 | 刑事事件