とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【生活保護】千葉地裁平成25年11月27日判決

【生活保護費の返還と否認権行使】
・千葉地裁平成25年11月27日民事第1部判決・金子直史裁判長
(事件番号:千葉地方裁判所平成25年(ワ)第616号・否認権行使請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83975&hanreiKbn=04


【事案の概要】
・生活保護受給者が資産を処分するなどして金銭を得たことから,市に対し,生活保護法63条(※)に基づき金銭を返還した。その後に生活保護受給者について破産手続が開始され,破産管財人である原告が,破産法162条1項1号の否認権を行使して,被告市に対し,返還金の返還を求めた事案。


【※生活保護法63条】
「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。」


【判示事項】
「本件事実関係の下では,被告の市長による本件保護開始決定に基づく保護費の給付を受けてきた破産者が,被告に対し,生活保護法63条に定める費用返還義務の履行としてした本件弁済は,破産法162条1項1号に該当し,その有害性及び不当性にも欠けるところがないから,その後に破産者について開始された破産手続の破産管財人である原告が,被告に対し,本件弁済についての否認権を行使する本件請求は,理由がある。」


【雑感】
・63条の返還に否認権行使を認めた極めて稀有な事案。破産管財人がここまでやることは少なく,破産裁判所も時間がかかることをよく認めたなぁと思います。
・最近,福祉事務所が63条または78条による返還請求を濫発して,金のないとわかっている保護者に返さないなら刑事告発するというケースが増えています。
・返してしまえば否認権行使の対象になりうることは知っておくべきでしょうね。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-02-28 23:27 | 消費者問題

【権利能力なき社団】最高裁平成26年2月27日判決

【権利能力なき社団と原告適格】
・最高裁平成26年2月27日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成23年(受)第2196号・所有権移転登記手続等請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83983&hanreiKbn=02


【事案の概要】
・権利能力のない社団である被上告人が,その構成員全員に総有的に帰属する土地について,共有持分の登記名義人のうちの1人の権利義務を相続により承継した上告人に対し,委任の終了を原因として,被上告人の代表者であるAへの持分移転登記手続を求めた事案


【判示事項】
「訴訟における当事者適格は,特定の訴訟物について,誰が当事者として訴訟を追行し,また,誰に対して本案判決をするのが紛争の解決のために必要で有意義であるかという観点から決せられるべき事柄である。そして,実体的には権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については,実質的には当該社団が有しているとみるのが事の実態に即していることに鑑みると,当該社団が当事者として当該不動産の登記に関する訴訟を追行し,本案判決を受けることを認めるのが,簡明であり,かつ,関係者の意識にも合致していると考えられる。また,権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産については,当該社団の代表者が自己の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟を提起することが認められているが(最高裁昭和45年(オ)第232号同47年6月2日第二小法廷判決・民集26巻5号957頁参照),このような訴訟が許容されるからといって,当該社団自身が原告となって訴訟を追行することを認める実益がないとはいえない。
 そうすると,権利能力のない社団は,構成員全員に総有的に帰属する不動産について,その所有権の登記名義人に対し,当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続をすることを求める訴訟の原告適格を有すると解するのが相当である。そして,その訴訟の判決の効力は,構成員全員に及ぶものと解されるから,当該判決の確定後,上記代表者が,当該判決により自己の個人名義への所有権移転登記の申請をすることができることは明らかである。」


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by lawinfo | 2014-02-27 23:16 | 最高裁

【過払い訴訟論点】司法書士の本人支援の適否

【過払い訴訟における司法書士の本人支援の適否】
・富山地裁平成25年9月10日判決・判時2206号111頁(髙嶋卓裁判長)
(事件番号:富山地方裁判所平成24年(ワ)第86号・不当利得返還請求事件)


【事案の概要】
・司法書士が本人支援として過払い債権者から過払金返還請求訴訟の追行を事実上依頼された事例。


【主文】
「本件訴えを却下する。
 訴訟費用は原告の負担とする。」


【雑感】
・司法書士の行為が弁護士法72条に違反し,訴訟行為の一切は無効。依頼者本人の追認によっても有効とはならないという判決です。
・司法書士の本人支援はいろいろ議論がありますが,ここまで明確に否定したものは珍しいです。
・本人の追認が有効とならないというのはそれでいいと思いますが,却下に先立ち民事訴訟法34条1項の補正を命ずる必要はないとの判示は,依頼者本人の利益を考えるとこれはやってもいいのかなと思います。
・この事件はこの判決で確定しているようであり,この司法書士の説明義務違反が問われる可能性があります。少なくとも,本判決が公刊物に掲載された日以降は,司法書士の本人支援は却下される可能性があることを依頼者本人に説明しておかないと,司法書士の説明義務違反に問われる可能性はあるといえます。
・ただし,この判決の事実認定によると,依頼者がこの司法書士に自らの印鑑を預け,司法書士が勝手にその印鑑を使い書面を作成・提出していたという事情を強く考慮したといえるため,他の司法書士支援事案にも拡げて適用があるかは判然としません。


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by lawinfo | 2014-02-26 23:49 | 過払い訴訟論点

【貸金業者の対応】クロスシード破産手続開始決定③

【クロスシード破産手続開始決定③】
・クロスシード破産管財人室のHPが更新されていました。関係のある方はご覧ください。
URL:http://www.crossceed-kanzai.jp/pdf/tutisyo_20140218.pdf


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by lawinfo | 2014-02-24 23:32 | 貸金業者の対応

【遺産分割】最高裁平成26年2月14日判決

【遺産分割における相続分の全部譲渡と当事者適格】
・最高裁平成26年2月14日第二小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成23年(受)第603号・遺産分割,建物明渡等請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83947&hanreiKbn=02


【判示事項】
「共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり,遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできないのであるから,その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はないというべきである。そうすると,共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しないと解するのが相当である。
 これを本件についてみると,Eらは,いずれも自己の相続分の全部を譲渡しており,第1事件の訴えの当事者適格を有しないことになるから,原告らのEらに対する訴えの取下げは有効にされたことになる。」


【雑感】
・最高裁の結論はそれはそうだろうなという結論です。原審は遺産分割の固有必要的共同訴訟性に固執しすぎたのでしょう。


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by lawinfo | 2014-02-14 23:23 | 家事事件

【過払いその後】武富士役員責任追及訴訟①

【武富士役員責任追及訴訟①】
・武富士の旧役員の責任追及訴訟が平成25年11月8日に結審し,平成26年3月14日午前10時30分から東京地裁606号法廷で判決が言い渡されることになったようです。

・法的構成としては,武富士の取締役の第三者責任(会社法429条)を問うもので,武富士の旧役員に「任務懈怠」が認められるか否かが争点です。

・原告ら代理人によると,同種訴訟は全国17地裁1支部の40都道府県で起こされているそうで,全国で約2800人の原告が64億円を請求しているそうです。

・結論としては難しいと思いますが,3月14日の判決書はぜひ公開してほしいです。


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by lawinfo | 2014-02-12 23:35 | 過払い訴訟論点

【貸金業者の対応】クロスシード破産手続開始決定②

【クロスシード破産手続開始決定②】
・クロスシードのHPが更新されていました。
URL:http://www.crossceed-kanzai.jp/


・重要なことがいろいろ書いていあるので,クロスシードと取引のあった方は必ずご覧ください。


【まとめ】
・引き直し計算後過払いになっている⇒今後の返済義務なし
・引き直し計算後残有⇒返済義務があるが,破産管財人から次の指示があるまでいったん支払中止。この間の遅延損害金なし。
・過払いか残有か不明⇒破産手続開始等の通知書で判断。


【雑感】
・ようやくの管財人室の設置。管財人の対応が迅速とはいえませんが,債権者破産だったことも考えると混乱があったのかもしれません。
・大阪地裁が東京の弁護士を管財人に選任したんですね。本社が東京にあったことから,その方が作業がしやすいということなんでしょうね。


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by lawinfo | 2014-02-04 23:29 | 貸金業者の対応