とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【過払い訴訟論点】最高裁平成26年7月24日判決

【期限の利益の喪失(充当関係)】
・最高裁平成26年7月24日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成24年(受)第2832号・不当利得返還請求事件
 原審事件番号:仙台高等裁判所平成24年(ネ)第164号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84335&hanreiKbn=02


【同種事案の別の最高裁判決】
・最高裁平成26年7月29日第三小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25(受)第78号・不当利得返還請求事件
 原審事件番号:名古屋高等裁判所平成24年(ネ)第405号)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84341
※こちらには木内道祥判事の補足意見が付いています。


【事案の概要】
・CFJは,平成10年3月9日,借主に対し,400万円を次の約定で貸し付けた。
 弁済方法 約定分割返済額を6万8800円とし,これを平成10年4月から平成25年3月まで毎月1日限り支払う。
 利息 年19.48% 遅延損害金 年29.20%
 特約 支払期日における支払を遅延したときには,通知及び催告を要せずに期限の利益を失う。
・借主は,CFJに対し,平成10年3月9日に18万円を支払ったほか,その後もおおむね毎月6万8800円を超える金額を支払い続けていたものの,何らの支払もしないときもあった。
・CFJは,借主が本件各期日における元本及び利息の支払を遅滞し,期限の利益を喪失したから,本件各期日の翌日から残元本全部に対する遅延損害金が発生したと主張して,上告受理申立てをした。


【判示事項】
元利均等分割返済方式によって返済する旨の約定で金銭消費貸借契約が締結された場合において,借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはないと解するのが相当である。」


【雑感】
・これまで取り上げてきた【争点】期限の利益の喪失・遅延損害金についての最高裁判決。最高裁判決だけ見ていては事案はよくわからないと思います。上記の原審の判断とCFJの主張を見てください。
・本判決は「元利均等分割返済方式」についての限定的な判断で,あまり実務に影響はないと思われます。この判決を口実に,貸金業者がもっと主張したいなど主張し先延ばしをさせないように,しっかり対処すべきでしょう。
・7月29日の判決が最高裁に掲載されたことにより,この2つの判決がどのような意味をもつかよくわからなくなってきました。原審審・原審はいずれも,期限の利益の喪失がされたか否かが争点であり,判決でもその点が争点としてとらえられていました。しかし,この2つの判決は充当の問題と言い換えているため,いまいち争点がぼけているように思えます。
・特に,一番疑問なのは,過払い事件が多かった平成24年くらいまでは同一の争点については,いったん決まった小法廷について,係属替えをしてでも同一の過払い争点については同一の小法廷に入れていました。しかし,今回は第一小法廷と第三小法廷に別々に係属させ(上告人はいずれもCFJで争点も同じなのに),2つの判決を言い渡した理由がよくわかりません。どちらかというと,第三小法廷判決の方が少しは事案がわかっていいですが。
・いずれにしても,原審判決を読まないと事案がまったくわからないと思います。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-07-25 23:56 | 最高裁

【裁判員裁判】最高裁平成26年7月24日判決

【裁判員裁判における量刑判断】
・最高裁平成26年7月24日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第689号・傷害致死被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84336&hanreiKbn=02


【主文】
「原判決及び第1審判決を破棄する。
 被告人Aを懲役10年に,被告人Bを懲役8年に処する。
 被告人両名に対し,第1審における未決勾留日数中各400日を,それぞれその刑に算入する。」


【判示事項】
「指摘された社会情勢等の事情を本件の量刑に強く反映させ,これまでの量刑の傾向から踏み出し,公益の代表者である検察官の懲役10年という求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることについて,具体的,説得的な根拠が示されているとはいい難い。その結果,本件第1審は,甚だしく不当な量刑判断に至ったものというほかない。同時に,法定刑の中において選択の余地のある範囲内に収まっているというのみで合理的な理由なく第1審判決の量刑を是認した原判決は,甚だしく不当であって,これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。」


【白木勇判事補足意見】
「量刑の先例やその集積である量刑の傾向は,それ自体としては拘束力を持つものではないし,社会情勢や国民意識の変化などに伴って徐々に変わり得るものである。しかし,処罰の公平性は裁判員裁判を含む刑事裁判全般における基本的な要請であり,同種事犯の量刑の傾向を考慮に入れて量刑を判断することの重要性は,裁判員裁判においても何ら異なるものではない。そうでなければ,量刑評議は合理的な指針もないまま直感による意見の交換となってしまうであろう。
 こうして,量刑判断の客観的な合理性を確保するため,裁判官としては,評議において,当該事案の法定刑をベースにした上,参考となるおおまかな量刑の傾向を紹介し,裁判体全員の共通の認識とした上で評議を進めるべきであり,併せて,裁判員に対し,同種事案においてどのような要素を考慮して量刑判断が行われてきたか,あるいは,そうした量刑の傾向がなぜ,どのような意味で出発点となるべきなのかといった事情を適切に説明する必要がある。このようにして,量刑の傾向の意義や内容を十分理解してもらって初めて裁判員と裁判官との実質的な意見交換を実現することが可能になると考えられる。」


【雑感】
・裁判員裁判の量刑についての判断。
・裁判員の市民感覚を取り入れ,求刑の1.5倍の刑を言い渡した第1審判決を高裁が維持し,最高裁が破棄した事案です。

・最高裁は,自分たちが推し進めている裁判員裁判について,裁判員の感覚がおかしいということはできないため,破棄の理由を「説明不足」にしています。
 しかし,これは詭弁で,最高裁がいいたいことは,裁判所にとって最も信頼できる検察官の求刑を大きく離れた裁判員の量刑感覚はおかしいといっているにほかなりません。
・結局,この判決により従来どおりの価値判断以上の量刑判断はないことになるので,裁判員が判断しようが,職業裁判官が判断しようがほとんど変わらないことになり,結局,裁判員裁判を続ける意味はないと思います。
・今後裁判員に選任されると,職業裁判官から「最高裁が従来の量刑傾向から離れたものは認められないといっているので,量刑は従来どおりにするしかない」と説得され,裁判員は結局その判断を追認するだけの機関となってしまうことが危惧されます。忙しい裁判員が時間を割いているのに,結局裁判員の意向が反映されないとなれば,一層裁判員のなり手がなくなってしまうことでしょう。

・本判決の大阪高裁判決の要旨欄を読む限り,大阪高裁の判決理由はおそまつにすぎます。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-07-25 00:12 | 刑事事件

【親子関係不存在】最高裁平成26年7月17日判決

【嫡出推定とDNA鑑定】
・最高裁平成26年7月17日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成24年(受)第1402号・親子関係不存在確認請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84326&hanreiKbn=02


【原審判断】
「嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは,相当でない。民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は,家庭内の秘密や平穏を保護するとともに,平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから,このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ,かつ,生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては,嫡出推定が排除されるべきである。」


【主文】
「原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。
 本件訴えを却下する。
 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。」


【法廷意見判示事項】
「夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから,上記の事情が存在するからといって,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。」


【金築誠志判事の反対意見】
「血縁関係のある父が分かっており,その父と生活しているのに,法律上の父はBであるという状態が継続するのである。果たして,これは自然な状態であろうか,安定した関係といえるであろうか。確かに親子は血縁だけの結び付きではないが,本件のように,血縁関係にあり同居している父とそうでない父とが現れている場面においては,通常,前者の父子関係の方が,より安定的,永続的といってよいであろう。子の養育監護という点からみても,本件のような状況にある場合,Bが子の養育監護に実質的に関与することは,事実上困難であろう。また将来,Bの相続問題が起きたとき,Bの他の相続人は,子がCではなくBの実子として相続人となることに,納得できるであろうか
 Cと親子になりたければ,養子縁組をすればよいという意見もあるが,法的な効果に変わりはないとしても,心情的には実子関係と異なるところがあろう。血縁関係のないBとの法律上の父子関係が残るということも,子の生育にとって心理的,感情的な不安定要因を与えることになるのではないだろうか。さらに,Bとの法律上の父子関係が解消されない限り,Cに認知を求めるという方法で,子が自らのイニシアチヴによりCとの法律上の父子関係を構築することはできないのであって,Bに対する親子関係不存在確認の訴えを認めないことは,子から,そうした父を求める権利を奪っているという面があることを軽視すべきでないと思う。それとともに,本件のような場合は,Bとの法律上の父子関係が解消されたとしても,直ちに,Cという父を確保できる状況にあるということもできる。」


【雑感】
・近時増えている家事事件の問題。

・私はちょうど親子関係不存在の事件をつい最近扱ったものとして非常に関心がある事件です。結論として,最高裁多数意見には反対です。
・私の事案は親子関係の不存在を求められた側が調停に応じ,親子関係の不存在がDNA鑑定で確定したため,問題は起こりませんでした。逆にいえば,これで相手方が応じなければこの判例により争う道がなくなっていたと思うと,事案として不存在を認めないことが極めて不相当な事案であったことも考えれば,この多数意見の結論は実態と乖離した判決といえます(具体的な事案の言及はしません)。

・私は金築反対意見と近い考え方です。「子の福祉」の観点を強調しますが,多数意見などはこれを「子供の経済的利益」と同視しているように見えます。血縁がすべてではないのは当然ですが,子供にとって自分の本当の父親が誰かは重要な関心事項であり,血縁上の親でない人間を親と思い続けなければならないことが本当に「子の福祉」にかなうか甚だ疑問です。
・また,金築反対意見が指摘するように,親族が血縁上のつながりのない子供を相続人として本当に扱えるかについて現実的な問題があると思います。
 実際に私の扱った事案でもそれを心配して親子関係不存在をしたいと相談があった
事案であり,みなさんも架空の問題としてではなく,自分のこととして現実感をもって考えてみるべきでしょう。

・最後に,多数意見は時代に合わなくなってきている民法が問題とし,さかんに「立法政策の問題」を強調していいます。
 これは正しい考え方ではありますが,立法で解決できない問題について,司法に最後の救済を求めた当事者に対し,責任放棄しているといってもいいと思います。実際に高裁は立法の不備を救済してきたわけですから,不可能ではない問題です。最高裁が安易に責任回避しているだけのように思います。


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by lawinfo | 2014-07-18 23:38 | 最高裁

【貸金業者の対応】アイフルADR期間満了後の対応③

【アイフルADR期間満了後の対応③】
・アイフル及びライフカードが,早速CFJの最高裁の判決が出ることを理由に遅延損害金について,書面を出したいと準備書面に記載したり,法廷でしきりにいうようになってきました。

・これらの会社としては先延ばしのいいえさが与えられたというところでしょうが,事案を知らない裁判官は最高裁で同種争点が判断される可能性があると結審しない可能性があります。

・こちらの【記事】で紹介したように,争点はあまりたいしたことはない点で,最近争われているところではないので,最高裁で判断される予定なのは関係ない争点について判断であることを代理人としてきっちり説明し,両社の先延ばしに付き合わないようにする義務があると思われます。

・たしかに,最高裁判決が言い渡されるまでは,最高裁が何についての判断を示すか正確なことはわかりませんが,結審させたうえで,判決に影響を与えるのであれば,裁判所が職権で弁論を再開すればいい話なので,結審することを妨げる理由にならないことは主張していくべきでしょう。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-07-10 23:59 | 貸金業者の対応

【貸金業者の対応】アイフルADR期間満了後の対応②

【アイフルADR期間満了後の対応②】

・アイフルがADR期間終了後に,おもしろいファックスを送りつけているようです。
「1 はじめに」から始まる4頁(1/2で印刷しているので合計8頁)もので,外資系債権者への恨みつらみが書かれています。外資系債権者はこの事実をつかみ,アイフルに抗議してもいいレベルだと思います。

・この資料によると,外資系がアイフルの破綻を盾にかなり強硬な要求をしてきたことが記載されています。
特に,アイフルの社債の利率は8%で,アコム第64回社債が0.88%・オリックス第178回社債が0.552%と同業他社と比べると10倍以上の利率であることが記載されています(4頁)。

・その他,証券会社や格付会社の評価は低いと記載されています(7頁)。

・以上のようなことから,アイフルとしてはADR終了後も厳しい状況が続き,今後も安く和解してほしいといいたいようです。
 しかし,ADR期間中のアイフルの対応は極めてひどく,到底甘受できるレベルではありませんでした。訴訟の対応としては,ADR期間満了後もアイフルの破綻リスクは依然として存在するものの,それも甘受できるといってくださる依頼者の案件は,徹底的に厳しく判決をとっていくべきでしょう。裁判所も自分が楽をするためだけにテキトーな和解勧試をしておきており,今後は裁判所にどんどん判決を書かせるべきでしょう。私はADR期間中もそうしてきたので,変わりませんが…。


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by lawinfo | 2014-07-07 22:12 | 貸金業者の対応