とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

<   2014年 11月 ( 5 )   > この月の画像一覧


【貸金業者の対応】SFコーポレーションのその後④

【SFコーポレーションのその後④】
・SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)の破産管財人が株式会社クレディアに対し提起していた,譲渡担保の設定行為に対する否認権行使訴訟(東京高等裁判所平成26年(ネ)第189号)について,平成26年11月26日,クレディアが破産管財人に対し,28億5000万円を平成27年5月31日に支払うことなどを内容とする訴訟上の和解が東京高裁で成立したようです。
URL:http://sf-corp.jp/news/20141126.html

・Jトラスト株式会社のHPに訴訟の経緯が紹介されています。
URL:http://www.jt-corp.co.jp/jp/ir/2014/11/26/5063/?t=jn

・請求額及び第1審認容額が約54億円と年6分の遅延損害金だったため,およそ半額での和解ですが,SFコーポレーションが破産手続中であり,クレディアからの回収可能性の観点から見ても,十分な和解であるといえると思います。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-11-27 23:10 | 貸金業者の対応

【選挙無効確認】最高裁平成26年11月26日大法廷判決

【参議院議員選挙無効確認】
・最高裁平成26年11月26日大法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成26年(行ツ)第78号,79号・選挙無効請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84648


【事案の概要】
・平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について,岡山県選挙区の選挙人である被上告人らが,公職選挙法14条,別表第3の参議院議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟


【原審】
・広島高裁岡山支部平成25年11月28日判決
(事件番号:広島高等裁判所岡山支部平成25年(行ケ)第1号)


【主文】
「原審各判決を破棄する。
 被上告人らの請求をいずれも棄却する。
 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。」



【大橋正春判事反対意見(27頁)】
「参議院選挙区選出議員の選挙区の定数是正について,国会は,平成16年大法廷判決後,平成17年7月に施行される参議院議員通常選挙までの間に較差を是正することは困難であるとして較差是正を見送り,従来の定数配分規定によって平成17年の通常選挙が施行された。同選挙後の検討の結果成立した平成18年改正においても,平成19年7月施行の参議院議員通常選挙に向けた当面の是正策として4増4減の措置が実施されただけであり,根本的解決は同選挙後の検討に先送りされた。平成18年改正による定数配分規定について平成21年大法廷判決は投票価値の不平等の是正については国会における不断の努力が望まれると指摘したが,国会は選挙制度の見直しを平成22年7月施行の参議院議員通常選挙後に先送りしただけでなく,同選挙に向けての当面の較差是正をも見送り,同選挙を対象とした平成24年大法廷判決で定数配分規定は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと指摘されることになった。そして,同選挙前に目標とされた平成23年度中に参議院議員選挙の抜本的改革を内容とする公職選挙法の改正法案の提出は実現されず,平成24年11月16日に成立した平成24年改正法においても,平成25年7月施行の参議院議員通常選挙に向けた当面の是正措置として4選挙区で4増4減措置を定めたにすぎず,抜本的な改革は平成28年7月施行の参議院議員通常選挙まで再び先送りされた。こうした国会の改正作業について,私は平成24年大法廷判決の反対意見において,「平成18年改正の4増4減措置は,表向きは暫定的なものとされていたものの,その真意は,それを実質的に改革作業の終着駅とし,しかも,最大較差5倍を超えないための最小限の改革に止めるという意図によるものであったと評価せざるを得ない。」と述べたが,平成24年改正についても,国会が過去の検討結果を利用して審議を促進させようとの動きを見ることはできず,国会の真摯な努力については疑問を持たざるを得ない
 関係者の主観的意図は別として,国会の行動は,外形的には,定数配分規定の憲法適合性が問題になると当面の選挙を対象とした暫定的措置を採って抜本的改革は先送りし,次の選挙が近づき定数配分規定の憲法適合性が問題になるとまた暫定的措置を採るのみで抜本的改革を先送りするということを繰り返しているように見える。平成24年大法廷判決の判示するとおり参議院の定数配分の違憲状態を解消するためには選挙制度の仕組み自体の見直しが不可欠である以上,このような暫定的措置と抜本的改革の先送りを繰り返すだけでは,違憲状態が解消されるものではなく,制度の仕組み自体の見直しを内容とする改正の真摯な取組がされないまま期間が経過していくことは国会の裁量権の限界を超えるとの評価を免れないというべきである。
 上記の諸事情を考慮すれば,本件選挙までに憲法の要求する投票価値の平等の実現を図らなかったことは国会の裁量権の限界を超えたものといわなければならない(そもそも,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたとされる状態を是正することは国会の憲法上の責務であり,裁量の問題とすることには違和感を覚える。当審は,最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁(以下「昭和51年大法廷判決」という。)以降,衆議院議員の選挙における投票価値の較差について,投票価値の平等の観点から憲法上問題があると判断した場合の次の判断事項として,「憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったといえるか否か」と判示して期間の問題であることを明示しているが,参議院議員選挙についてもこれと同様の問題の捉え方が適切であると考えられる。)。したがって,本件定数配分規定は,本件選挙当時において憲法に違反するものであったことになる。」


【雑感】
・結論は当然わかっていたことで,原審裁判官も当然に最高裁で逆転すると思いつつ無効判決を書いたと思われます。
・相変わらず,多数意見は特に読む必要もないので紹介しません。
・大橋反対意見は納得できることを書かれているので,紹介します。特に,なんでも立法裁量というのは違和感を覚えるとの指摘はまさにスバリ言い得ていると思います。

・ただ,大橋反対意見のうち,選挙の効力についての「全ての選挙区について選挙無効とするのではなく,一定の合理的基準(例えば較差が一定以上)に基づいて選択された一部の選挙区についてのみ選挙を無効とし,その他の選挙区については違法を宣言するにとどめることも可能であると考える。」という一部無効論は,現実的にはムリだろうと思います。
 結局この議論をしてしまうと,何倍なら無効といえるかで議論が止まることになり,時代が変わればまたその数値が変わりかねず,あまりに基準として不安定にすぎます。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-11-26 23:23 | 最高裁

【刑事事件】大阪地裁平成26年11月10日判決

【所得税法違反無罪判決】
・大阪地裁平成26年11月10日第12刑事部判決・遠藤邦彦裁判長
(事件番号:平成24年(わ)第3568号・所得税法違反被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84644


【公訴事実】
「被告人は,大阪市甲区乙a丁目b番c号の丙会館地下1階において,クラブ『X』を経営し,同クラブで稼働する従業員等に対する給与の支払をするとともに,ホステスに対する報酬の支払をする源泉徴収義務者であったものであるが,平成21年8月から平成23年7月までの間,同クラブで稼働する従業員等に対し,給与として合計1億3163万1960円を,同クラブで稼働するホステスに対し,報酬として合計6億276万7900円をそれぞれ支払った際,これらの従業員等に対する給与について所得税として合計3143万1591円を,ホステスに対する報酬について所得税として合計4797万4278円をそれぞれ源泉徴収し,各法定納期限までに大阪府丁市戊d丁目e番f号所在の所轄己税務署に納付しなければならないのに,これを納付せず,もって源泉徴収して納付すべき所得税合計7940万5869円を納付しなかった。」


【争点】
・争点は,被告人が,クラブXの源泉徴収義務者であったか否か。
検察官は,被告人は,AとXを共同経営していたから,Aとともに,稼働する従業員等に対する給与及びホステスに対する報酬についての源泉徴収義務者であったと主張する。
 これに対し,弁護人は,XはAが単独で経営しており,被告人はAの従業員にすぎず,本件給与等に対する源泉徴収義務を負う立場にはなかったから,真正身分を欠き,無罪であると主張し,被告人もこれに沿う供述をした。


【主文】
「被告人は無罪。」


【判示事項】
「第3 被告人が幹部従業員であることを前提にした源泉徴収義務者性検察官は,Aが上位者で優位な立場にあったとしても,源泉徴収義務者は,支払の係る経済的出捐の効果の帰属主体となるにふさわしい実体を有する者に当たるとして,被告人が源泉徴収義務者であると主張する。
 しかし,前述のとおり,被告人は,Aの僅か5分の1しか利得配分を受けておらず,給与等の計算は,黒服従業員のトップとして事実上行っていたにすぎないのであるから,そのような者を経済的出捐の効果の帰属主体などといえるはずもなく,被告人を源泉徴収義務者とみることはできない

第4 被告人の源泉徴収義務者該当性以上検討したとおり,XはAの単独経営であり,被告人はいわば黒服従業員のトップとして経理等の業務に従事していた幹部従業員にすぎず,被告人は,ホステスや黒服従業員の請負,雇用契約の主体には当たらない。
 したがって,被告人は,本件給与等の源泉徴収義務者に該当しない。」


【雑感】
・本件は全国ニュースになった事件。またまた,元研修所教官の無罪判決か…と思ったのですが,どうやら国税当局と検察官のずさんなやり方が無罪判決を生んだだけなのかもしれません。
・わざわざ,裁判所が「3 本件の特異性」(判決書2頁)と題して,国税と検察のずさんさを指摘したうえで論証しているところが本件のまさに特異なところといえるでしょう。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-11-25 23:47 | 刑事事件

【刑事事件】最高裁平成26年11月17日決定

【勾留請求却下後の準抗告の判断】
・最高裁平成26年11月17日第一小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成26年(し)第678号・勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84640


【決定要旨】
「被疑者は,前科前歴がない会社員であり,原決定によっても逃亡のおそれが否定されていることなどに照らせば,本件において勾留の必要性の判断を左右する要素は,罪証隠滅の現実的可能性の程度と考えられ,原々審が,勾留の理由があることを前提に勾留の必要性を否定したのは,この可能性が低いと判断したものと考えられる。本件事案の性質に加え,本件が京都市内の中心部を走る朝の通勤通学時間帯の地下鉄車両内で発生したもので,被疑者が被害少女に接触する可能性が高いことを示すような具体的な事情がうかがわれないことからすると,原々審の上記判断が不合理であるとはいえないところ,原決定の説示をみても,被害少女に対する現実的な働きかけの可能性もあるというのみで,その可能性の程度について原々審と異なる判断をした理由が何ら示されていない
 そうすると,勾留の必要性を否定した原々審の裁判を取り消して,勾留を認めた原決定には,刑訴法60条1項,426条の解釈適用を誤った違法があり,これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。」



【雑感】
・刑事裁判官は身柄拘束を解いて被疑者に逃げられるのが嫌なので,とりあえず勾留しておけということが非常に多いです。
・この抗告審の判断もそれで,それが大半です。ただ,最高裁がこの判断をしたことで,刑事裁判官が実質的な要件判断を行うように実務が少しでも変わってくれることを祈ります。
・最高裁がこのような判断をしたのは,裁判員裁判の控訴審における判断基準のように,これからは,かならずそう判断した理由を書くようにということなんでしょうね。まあ,形式的な理由を書けば足りるという感じで,結局のところ実務は変わらなさそうですが…。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-11-20 23:46 | 最高裁

【成年後見】宮崎地裁平成26年10月15日判決

【成年後見と裁判所の責任】
・宮崎地裁平成26年10月15日民事第2部判決・末吉幹和裁判長
(事件番号:宮崎地方裁判所平成25年(ワ)第327号・国家賠償等請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84599


【主文】
「1 被告は,原告に対し,2511万3494円及びうち499万9900円に対する平成21年9月24日から,うち913万7665円に対する平成21年11月9日から,うち599万2440円に対する平成21年12月9日から,うち498万3489円に対する平成22年1月25日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。ただし,被告が2600万円の担保を供するときは,その仮執行を免れることができる。」


【判示事項】
「⑵ 家事審判官の行為の違法性
ア 上記認定事実アのとおり,原告について未成年後見人の選任が申し立てられたのは,原告の実母で単独親権者であったBが突然本件交通事故によって死亡し,原告に多額の保険金が支払われることが予想されたため,原告の後見人を選任して,本件交通事故の示談交渉手続などを進め,今後支払われる保険金を受領することにあったから,原告の未成年後見人は,本件交通事故を原因として原告が取得するであろう多額の保険金を適正に管理することが重要な職務となっていた。そして,このことから,家庭裁判所が未成年後見人に対する監督を行う上で一番重要な点は,原告が受領する保険金の出入を監督する点にあり,家事審判官は,Cが宮崎家庭裁判所都城支部に未成年者後見人選任の申立てをした平成19年2月当初から,このことを認識していたと認められる。
 また,原告の未成年後見人に選任されたCが宮崎家庭裁判所に提出する財産目録や収支状況報告書の記載,その裏付けとなる預貯金通帳の記載には特に注意して確認する必要があったといえる
イ 上記認定事実オのとおり,宮崎家庭裁判所書記官は,平成20年3月25日,G弁護士から,保険金請求の進捗状況について,自賠責保険(○○株式会社)を先にもらえるよう準備している最中であり,自賠責保険で不足する分の××株式会社に対する任意保険分は,その後になり,訴訟で解決していくことになる予定である旨の説明を受けていたから,家事審判官は,同日の時点で,原告が自賠責保険金と任意保険金の支払を受けることを認識していたと認められる。
 そして,上記認定事実コのとおり,平成21年9月11日,Cは,本件財産目録(平成21年6月末日を基準とする。)や本件収支状況報告書(平成21年1月から同年6月末日までの期間を対象とする。)を提出し,保険金の入金の事実及びその入金先を申告し,その裏付け資料も併せて提出しているところ,上記のとおり,Cに対する後見監督においては,保険金の出入に注視することが重要であることから,本件自賠責保険金の入金について,Cに確認する必要があったといわざるを得ない
(中略)
家事審判官は,平成20年7月1日から同年12月末日までの収支について,Cに通帳の写しの提出を求めたり,Cに報告させるなどの措置を取らず,また,G弁護士に保険金請求の進捗状況について照会するなどの方法で,本件自賠責保険金の支払の有無及びその額につき把握する措置を取っていないから,更なる被害を防止する措置を怠ったといわざるを得ない。
したがって,上記家事審判官の対応は,家事審判官に与えられた権限が逸脱されて著しく合理性を欠くと認められ,国家賠償法1条1項が適用される違法な行為といわざるを得ない(以下,上記家事審判官の対応を「本件違法行為」という。)。」


【雑感】
・これは弁護士が見ても驚く判決です。成年後見について,裁判所は十分な監督をしていないにもかかわらず,国(家裁)に対する国家賠償請求を認めないものがほぼすべてで,これは極めて稀な事件といえます。専門職後見人の責任にはすぐにするのに,裁判所の責任は全然認めず,その不均衡がよく指摘されていました。
 ただ,本判決は国が控訴するとひっくりかえる可能性もあり,今後同様の判断が続くとは思えません。
・何より驚いたのは,国の責任を認めた判決を最高裁がHP上で紹介したことです。最高裁が何も考えていないのか,中立公正な機関ぶりを発揮したのか,真意は謎です。
まあ,単純に珍しい判決だったから紹介しただけでしょうけど。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2014-11-04 23:27 | 成年後見