とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

<   2015年 04月 ( 7 )   > この月の画像一覧


【武富士通知処分取消訴訟】最高裁平成27年4月14日決定

【武富士更正すべき理由がない旨の通知処分の取消等請求訴訟上告審決定】
・最高裁平成27年4月14日決定
URL:http://www.tfk-corp.jp/pdf/150422_1.pdf


【決定】
「本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。」


【その他の係属事件】
・その他の事件は以下をご覧ください。
URL:http://www.tfk-corp.jp/pdf/150422_2.pdf


【雑感】
・この件についてはもともと上告審で覆る可能性は低く,難しいと思っていました。過払い債権者はもう武富士のことはかなり忘れているころなので,そろそろ全体的に,終わらせる方向で幕引きする方向に管財人も動いた方がいいかもしれません。逆にいえば,みんな忘れているからこのままずっとやるのも一つの考え方ですが…。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-27 23:23 | 最高裁

【無罪判決】横浜地裁平成27年4月3日判決

【業務上過失致死事件無罪判決】
・横浜地裁平成27年4月3日第5刑事部判決・近藤宏子裁判長
(事件番号:横浜地方裁判所平成25年(わ)第1470号・業務上過失致死被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85056


【事案の概要】
・幼稚園のプール活動に際し,担任教諭が遊具の片付け作業等に気を取られて溺れた被害児童を見落としたまま放置し,同人が死亡した事故について,担任教諭に園児の行動を注視できる具体的な遊具の片付け方法を十分に教示することを怠った過失及び複数の者によって園児の行動を監視する体制をとることを怠った過失があるか。


【検察官の求刑】
・罰金100万円


【主文】
「被告人は無罪。」


【雑感】
・この件は検察官としても厳しいと思いつつも,子供を失った遺族の突き上げにあって起訴してしまったんでしょうか。痛ましい事故です。
・この判決のポイントは「B教諭が担当するC4組の園児数は新任教諭であることが考慮されて,先輩教諭が担当するクラスよりも少ない13人であった。」(判決書5頁)ことでしょうか。新人教師であることを考慮して受け持ち児童数を減らしていれば,対策はしてあったと認定するしかないでしょう。
・この手の事件で被告人の過失を立証しきるのは難しいでしょうね。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-24 23:11 | 刑事事件

【弁護士会照会】名古屋高裁平成27年2月26日判決

【弁護士会照会への回答拒絶】
・名古屋高裁平成27年2月26日民事第1部判決・木下秀樹裁判長
(事件番号:名古屋高等裁判所平成25年(ネ)第957号・損害賠償請求控訴事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85055


【事案の概要】
・強制執行を依頼された弁護士が弁護士会に23条照会を申し出,弁護士会は,本件申出を適当と認め,日本郵政(郵便局株式会社)に対し,23条照会をしたところ,日本郵政は,弁護士会に対し,照会を拒絶した。
これに対し,弁護士会らが本件拒絶が不法行為を構成すると主張して日本郵政に対し,損害賠償請求をした。
・1審名古屋地裁は,照会事項の全部について報告を拒絶したことには正当な理由を欠くところがあったが,過失があるとまではいえないとして弁護士会らの請求を棄却したため,弁護士会らは控訴した。


【判示事項】
「前記ウの(ア)と(イ)を比較衡量すれば,本件においては,本件照会事項(1)ないし(3)については,23条照会に対する報告義務が郵便法8条2項の守秘義務に優越し,同(4)については,同項の守秘義務が23条照会に対する報告義務に優越すると解するのが相当である。したがって,本件照会事項の全部について報告を拒絶した被控訴人の対応については,正当な理由を欠くものであり,違法であったといわざるを得ない。 なお,被控訴人は,昭和56年判例の基準に当てはめれば,本件拒絶には正当な理由があった旨主張するが,後記3(2)イで説示するとおり,同判例については,前科及び犯罪経歴に係る23条照会が問題となった事案についての事例判例というべきであるから,転居届に係る本件照会について,同判例への当てはめをするのは相当でない。被控訴人の主張は,採用することができない。」


【雑感】
・弁護士会対日本郵政の構図。現在,弁護士の中ではこの23条照会に対する不当拒絶が問題となっています。その中で一審で負けてしまったこの単位会は情けないですね。
・弁護士会側の「最高裁判所の判例がない場合,高等裁判所の判例がこれに準ずる効力を持つ」という主張を表だってしますかね。確かに事実上このように言われていますが,これを裁判所で堂々というのはどうなんでしょうかね。東京高裁で対立裁判例が出たらどうする気でしょうか。弁護士会側の主張が東京高等裁判所平成22年9月29日判決という事例判決に依拠しすぎていて,全体的にイマイチです。
・いろいろ中途半端な感じになっているので,双方上告して最高裁で決着をつけてほしいところです(実際に上告したかは不明)。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-22 23:46 | 時事ネタ

【一部無罪判決】旭川地裁平成27年4月2日判決

【一部無罪判決】
・旭川地裁平成27年4月2日刑事部判決・二宮信吾裁判長
(事件番号:旭川地方裁判所平成26年(わ)第174号・傷害被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85054


【公訴事実1】
「被告人が,2月26日頃から3月5日頃までの間,旭川市のC方において,Aに対し,その前胸部,腹部等を指でつねるなどの暴行を加え,よって,Aに全治まで約16日間を要する前胸部,腹部皮下出血等の傷害を負わせた」



【公訴事実1に対する判示事項】
「被告人は,Aの生後1週間後頃に,その夜泣きに苛立ち,その右頬を平手で叩き,その後も,その頬を平手で叩いたり,鎖骨の下辺りをつねったり,抱っこする際に揺さぶったりしたことがあること,3月5日時点でAの身体に残っていたあざは被告人の暴力によるものであることを認める旨の供述をしており(乙6),この供述の一部は上記(2)の負傷部位とある程度整合するものである。
 しかし,被告人の上記供述は,Aに対する暴行の時期・態様について特定せずに抽象的に述べるものにすぎず,被告人の述べる各暴行が第1事実の各傷害結果と対応するものであるのかも定かでない上,上記(2)で判示したとおり,3月5日時点におけるAの負傷状況は,故意以外の過失行為等により生じた可能性の高いものであって,第1事実の傷害の原因となる暴行についての客観的な裏付けとはいい難い。また,被告人の妻であるE等の同居家族を含め,被告人の暴行を目撃した者はいない。なお,Eによるブログの書き込み(甲11,12)があるが,Eの供述によってもこの書き込みの内容自体不明確なままであって,被告人の暴行を推認させるものとはいい難い。さらに,1か月検診の際になされたAの負傷に関する被告人及びEの不自然な説明等検察官が主張するその他の事情も,せいぜい被告人による暴行の事実と矛盾しないという程度のものに過ぎない。いずれも被告人の上記供述の信用性を支えるものとはいい難い。
 以上のとおり,被告人の上記供述は,抽象的で,推認力を有する補強証拠に欠けるものであるから,被告人が任意にしたものであって,積極的に供述の信用性を否定するまでの事情が認められないことを考慮しても,当該自白から被告人が第1事実の暴行をしたことを認定するに足りるほどの信用性は認められないというほかない。」


【雑感】
・一部無罪であり,前科もないのに求刑とほぼ変わらない量刑で,他の傷害罪で実質的に無罪の件も処罰しているのではないかと思われるほど重い量刑です。
・この裁判体としては,公訴事実1については無罪判決にはせざるを得ないが,他の傷害で求刑近くの刑を科せるから検察官が控訴することはないだろうとの読みで,この量刑にしたとしか思えません。あまり良くない無罪判決の例といえます。
・もちろん乳児虐待が憎むべき犯罪であることはいうまでもなく,当該被告人に対しては強い非難が加えられること自体は当然です。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-22 23:18 | 刑事事件

【保釈】最高裁平成27年4月15日決定

【保釈と具体的理由】
・最高裁平成27年4月15日第三小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成27年(し)第223号・保釈許可決定に対する抗告の決定に対する特別抗告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85051


【事案の概要】
・予備校理事長が予備校内にある接骨院内で,18歳の予備校生に強制わいせつをした。公判では,被告人は完全に否認し,第2回公判期日で被害者尋問が行われた。地裁は第2回公判期日後に,被告人の保釈を認めたが,名古屋高裁金沢支部は保釈決定を取り消した。被告人側が最高裁に特別抗告した。


【決定要旨】
「原々審が原審に送付した意見書によれば,原々審は,既に検察官立証の中核となる被害者の証人尋問が終了していることに加え,受訴裁判所として,当該証人尋問を含む審理を現に担当した結果を踏まえて,被告人による罪証隠滅行為の可能性,実効性の程度を具体的に考慮した上で,現時点では,上記元生徒らとの通謀の点も含め,被告人による罪証隠滅のおそれはそれほど高度のものとはいえないと判断したものである。それに加えて,被告人を保釈する必要性や,被告人に前科がないこと,逃亡のおそれが高いとはいえないことなども勘案し,上記の条件を付した上で裁量保釈を許可した原々審の判断は不合理なものとはいえず,原決定は,原々審の判断が不合理であることを具体的に示していない。そうすると,原々決定を裁量の範囲を超えたものとして取り消し,保釈請求を却下した原決定には,刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があり,これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。」


【雑感】
・これは弁護人にとって非常に大きい決定です。わりと大きな否認事件で最高裁が保釈を認めない高裁の決定を破棄したことから,今後実務で保釈率があがっていくと思われます。
・特にこの件は,従来からすれば保釈は認められない事案でしょうから,最高裁が立て続けに保釈を認めない高裁決定を取り消したのは,保釈実務へのメッセージがあるということだと思われます。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-20 23:47 | 刑事事件

【損害賠償】最高裁平成27年4月9日判決

【親権者の直接的な監視下にない未成年者に対する親権者の監督義務の程度】
・最高裁平成27年4月9日第一小法廷判決・山浦善樹裁判長
(事件番号:最高裁判所平成24年(受)第1948号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85032


【事案の概要】
・愛媛県の公立小学校に通学していた当時11歳11か月の男子児童が,平成16年2月25日の放課後,学校の校庭で友達と一緒にサッカーボールを用いてフリーキックの練習をしていた。
・男子児童が,同日午後5時16分頃,ゴールに向かってボールを蹴ったところ,そのボールは,本件校庭から南門の門扉の上を越えて橋の上を転がり,本件道路上に出た。折から自動二輪車を運転して本件道路を西方向に進行してきた80代の被害男性(大正7年3月生まれ)は,そのボールを避けようとして転倒し,本件事故により左脛骨及び左腓骨骨折等の傷害を負い,入院中の平成17年7月10日,誤嚥性肺炎により死亡した。
・被害男性の遺族が,男子児童の両親に対し,民法709条また714条1項に基づき損害賠償請求をした事案。
・1審・2審とも被害男性の遺族の損害賠償請求を一部認容したところ,両親側が上告受理申立てをした。


【主文】
「1 原判決中,上告人らの敗訴部分をいずれも破棄する。
2 第1審判決中,上告人らの敗訴部分をいずれも取り消す。
3 前項の取消部分に関する被上告人らの請求をいずれも棄却する。
4 第1項の破棄部分に関する承継前被上告人Aの請求に係る被上告人X2及び同X3の附帯控訴を棄却する。
5 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。」


【判示事項】
「責任能力のない未成年者の親権者は,その直接的な監視下にない子の行動について,人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務があると解されるが,本件ゴールに向けたフリーキックの練習は,上記各事実に照らすと,通常は人身に危険が及ぶような行為であるとはいえない。また,親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は,ある程度一般的なものとならざるを得ないから,通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は,当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り,子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。Cの父母である上告人らは,危険な行為に及ばないよう日頃からCに通常のしつけをしていたというのであり,Cの本件における行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない。そうすると,本件の事実関係に照らせば,上告人らは,民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったというべきである。」


【雑感】
・近時問題となった認知症の親への監督義務同様,非常に考えさせられる問題です。最高裁も3年もかけて審理(放置?)したようで,簡単に結論を出せない問題であったことが窺わされます。
・この事案で事故の起こった時間が放課後でなければ,学校の監督責任の範囲内ということになると思われますが,どこまで親権者が放課後の子供を監督すべきかという問題で,四六時中監督するということは現実にはできないため,最高裁としてはよっぽどおかしなことがない限り,親の監督責任を否定したということだと思います。
・ただ,これによって死亡した被害者の方は請求棄却になり,納得できない結論になりました。せめて,小学校としては,放課後であっても学校の敷地から派生したものについても,一定程度の補償が行われるような保険があれば救われるのになぁと思いました。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-09 23:06 | 最高裁

【無罪判決】名古屋地裁平成27年3月5日判決

【受託収賄無罪判決】
・名古屋地裁平成27年3月5日刑事第6部判決・鵜飼祐充裁判長
(事件番号:名古屋地方裁判所平成26年(わ)第1494号・受託収賄,事前収賄,公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律違反被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85026


【事案の概要】
・平成22年10月13日から平成25年5月8日まで,岐阜県美濃加茂市の市議会議員であり,同年6月2日の岐阜県美濃加茂市の市長選挙で当選した市長である被告人が,浄水ブラントを取り扱う株式会社の代表取締役Cから,美濃加茂市の市立学校に設置する契約が締結できるように,職員に働きかけるよう請託を受けた際に賄賂を受け取ったなどとして,受託収賄・事前収賄の罪を犯したとして起訴された事案。



【争点】
①Cから被告人に対する2度の現金授受の存否,②Cから被告人に対する依頼の内容及び同依頼が請託と評価できるか否か,③被告人が市議会において浄水プラントの導入を促す質疑及び発言を行ったと認められるか否か,④被告人のE課長に対する働きかけが市議会議員としての権限に基づく影響力を行使したものといえるか否か


【検察官の求刑】
・求刑懲役1年6月,30万円の追徴


【主文】
・被告人は無罪


【判示事項】
「争点①の本件各現金授受に関するCの公判供述について,信用性につき疑問があり,検察官が主張するその他の間接事実を考慮しても,本件各現金授受のいずれについても認めるには合理的な疑いが残ることから,被告人は無罪であると判断した」


【雑感】
・最年少の市長の贈収賄事件であるとして騒がれた事件。
・贈賄側は別の裁判体が有罪と判断しており,その整合性が問われます。この事件は検察側が控訴しており,控訴審が楽しみな事件です。
・本件では,裁判長が説諭で「市政に尽力されることを期待します。頑張って下さい」と述べたとされており,この裁判体としては,無罪であることが確信できるレベルだったことが窺えます。
[PR]

by lawinfo | 2015-04-08 23:12 | 刑事事件