とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【刑事事件】最高裁平成27年5月25日決定

【公判前整理手続と被告人質問の制限】
・最高裁平成27年5月25日第二小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第1465号・詐欺被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85122


【判示事項】
「本件質問等は,被告人が公判前整理手続において明示していた「本件公訴事実記載の日時において,大阪市西成区内の自宅ないしその付近にいた。」旨のアリバイの主張に関し,具体的な供述を求め,これに対する被告人の供述がされようとしたものにすぎないところ,本件質問等が刑訴法295条1項所定の「事件に関係のない事項にわたる」ものでないことは明らかである。また,前記1(2)のような公判前整理手続の経過及び結果,並びに,被告人が公判期日で供述しようとした内容に照らすと,前記主張明示義務に違反したものとも,本件質問等を許すことが公判前整理手続を行った意味を失わせるものとも認められず,本件質問等を同条項により制限することはできない。そうすると,検察官の異議申立てを容れて本件質問等を制限した第1審裁判所の措置は是認できず,原判決が同措置は同条項に反するとまではいえない旨判示した点は,同条項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」


【雑感】
・最高裁は結論として棄却していますが,最高裁が一審の訴訟指揮は誤りだったと認めていることから,司法試験や二回試験の問題の素材として使われるかもしれません。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2015-05-28 23:14 | 刑事事件

【国家賠償】大阪地裁平成27年4月14日判決

【警察官の職務犯罪に対する賠償金額】
・大阪地裁平成27年4月14日第24民事部判決・増森珠美裁判長
(事件番号:大阪地方裁判所平成26年(ワ)第4141号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85117


【事案の概要】
・覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕されたウガンダ共和国国籍の原告が,大阪府警の警察官による取調べの際,同人から暴行を受けた等と主張し,国家賠償法1条1項に基づき,大阪府に対し,慰謝料500万円等の支払を求めた事案


【判示事項】
「争点(2)(原告の損害額)について
 上記1に認定したとおり,Bは,取調べを担当する警察官という立場で,身柄を拘束された被疑者である原告に対し,3日間にわたる取調べの最中に上記のような暴言,暴行を行ったもので,Bによる本件各行為は強い非難に値するものというべきである。他方で,本件各行為は,暴行の程度としては比較的軽いものであって,これにより原告が傷害を負ったというような事実は認められず,原告に強い身体的苦痛を与えるようなものでもなかったことが認められる。これらに加えて,本件各行為に至る経緯,行為の態様,その他本件に現れた一切の諸事情を総合勘案すれば,Bの本件各行為によって原告が被った精神的苦痛を慰謝するための金額としては,30万円と認めるのが相当である
 そして,Bが平成23年8月29日,原告に対し,本件に関する慰謝料として30万円を支払ったことは当事者間に争いがないから,原告の被告に対するBの本件各行為を理由とする損害賠償請求権は,同日,弁済により消滅したというべきである。」


【雑感】
・警察官の職務犯罪に対する損害賠償が30万円っていう感覚ってどうなんですかね。
・警察官がこの裁判官に同じことをして,30万円の損害賠償という判決を他の裁判官が書いたとしたら,この裁判官は納得するんでしょうか。それとも裁判官は高級だから30万円では足りないが,被疑者なら30万円で十分だとでもいうんでしょうか。国家権力が職務犯罪を犯しているのであるから,襟を正して必要なことをすべきでしょう。

・しかも,実際に警察官が30万円払ったから違法な行為があったと認定しているだけで,金を払っておらず検察官の調書もなければ,おそらくこの裁判体は暴行の事実すら認定しなかったんでしょう。

・特別公務員(裁判官・検察官・警察官)に対する裁判は,刑事・民事とも裁判官が参加しない裁判所を作るべきで,裁判官がやることにはいつも疑問を感じています。特別裁判所の設置禁止との絡みでは,2審は高裁につなげれば解決するわけだから,それで問題ないと思っています(家庭裁判所がその例)。

・ちなみにヘイトスピーチの判決で高額な賠償が認められた根拠は人種差別撤廃条約でしたが,この件は外国人への明らかな差別を含むものですから,たった30万円で十分と言うのはあの判決と整合性がとれているのでしょうか。少なくともヘイトスピーチは肉体的な打撃を与えおらず,ここまで直接的な攻撃をしている事案との整合性がとれるのか疑問が残ります。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2015-05-27 23:32 | 損害賠償請求