とある弁護士のひとりごと

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【過払い論点】プロミス切替事案形式的処理の対応

【プロミス切替事案形式的処理の対応】
・クラヴィスからプロミスに切替がなされた切替事案について,クラヴィスの下で生じた過払金返還債務がプロミスに承継されるかについては,最高裁平成23年9月30日判決(※)により決着が付きました。


【※プロミス切替事案最高裁判決】
・最高裁平成23年9月30日第二小法廷判決・集民第237号655頁
(事件番号:最高裁判所平成23年(受)第516号)。
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81656&hanreiKbn=02

・その後,プロミス(現:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)は,上記最高裁判決が切替手続は「形式的処理」にすぎないと判示したため,その切替にかかるプロミスの振込とプロミスから借りた扱いになった金額(つまり借入れと同額の弁済の金額)は引き直し計算に入れるべきではないと主張しています。

・この主張の実益は切替時点でクラヴィスの下で過払いになっていると,借入れと同額の弁済金額を引き直し計算に入れてしまうと,充当の問題で過払金が1000円程度増えてしまう(その2回分の取引をなくせば過払金が少し減ることになる)ことにあります。

ただ,これは切替時点で過払いが出ている場合で過払いになっていない場合は金額はまったく変わりません。

・プロミスの代理人によると,プロミスが三井住友銀行の傘下に入った後,プロミスの担当者が銀行の担当者に代わると,この点をしつこく指摘されるようになったため主張しているとのことでした(代理人事務所によって主張してくるところとしてこないところがあり,統一感がないのが困りものですが…)。さすがは銀行の担当者はすごく細かいですね。


【本主張の妥当性】
・実際の資金の移動はあるため,引き直し計算書から除外する必要があるのかは疑問がありますが,最高裁が「形式的処理」を重視したからこそクラヴィス分も含めて一連計算を認めていて減縮してもそんなに金額は変わらないので,私はプロミスから指摘があれば減縮することにしています。


【弁論主義違反?】
・ここまではさして実益のある議論ではないのですが,少し法律論的に疑問のある判決をもらったので,ご紹介します。
上記で述べましたが,プロミスの代理人事務所によって,この形式的処理だから減縮すべきだとの主張をするところとしないところがあります。
私は主張がされたら減縮する方針で事件に対応してきたため,本主張をされなかった事案で減縮をしなかったところ,東京地裁の判決で突然この点について負け判決をもらいました。

私としては,これは弁論主義(※)違反ではないのかと当初は憤りました。

・しかし,よくよく考えてみると,弁論主義の対象は「事実」であって,原告の主張として,切替手続は「形式的処理」だから一連だとの主張はしていたため,弁論主義違反ではないと思いいたりました。弁論主義は当事者の一方が主張していればいいのです。
ただ,少なくとも被告が明示的に争ってもいない点を裁判所が一方的に釈明もせず(争点化せずに)判断する必要はないのではないかとは思います。

・大した問題ではないのですが.実際に学んだ学問上の法律問題が実務上も問題となりうることを示したかったもので,学問上の勉強はムダなものではありません。実務についているとふと原則論から争点について考えることがよくあります。


【※弁論主義】
・民事訴訟法では裁判の基礎となる訴訟資料の収集提出はあくまで当事者の権限かつ責任とされ,裁判所が積極的に事実と証拠を収集する職権探知主義はとられていません。

・弁論主義には学問上,以下の3つのテーゼがあるとされ,今回の件は第1テーゼに反するのではないかが問題となりえます。
第1テーゼ:当事者の主張しない事実を判決の基礎としてはならない。
第2テーゼ:当事者に争いのない事実はそのまま判決の基礎としなければならない。
第3テーゼ:事実認定の基礎となる証拠は,当事者が申し出たものに限られる(職権証拠調べの禁止)


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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# by lawinfo | 2012-07-21 22:07 | 過払い訴訟論点