とある弁護士のひとりごと

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【最高裁】クラヴィス→プロミス債権譲渡事案最高裁判決

【プロミス債権譲渡事案最高裁初判断】
・クラヴィス(旧社名:リッチ・ぷらっと・東和商事・シンコウ・タンポート)からプロミスに貸金債権が債権譲渡された事案で,最高裁判所第二小法廷は借主側の上告受理申立てを受理したうえで,平成24年6月29日,弁論を開かずに借主側の上告を棄却する判決を言い渡しました。
(事件番号:最高裁判所平成24年(受)第539号)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82408&hanreiKbn=02

・この判決だけを見ると,クラヴィスの下で生じた過払金返還債務はプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)に承継しないという結論で,通常の債権譲渡ならまあそんなものかなぁとも思います。

しかし,この判決に至る経緯を見ると到底納得のいく結論ではありません。


【本最高裁判決に至る経緯】
・まず,プロミスの切替事案において,最高裁平成23年9月30日第二小法廷判決・集民第237号655頁は,クラヴィスの下で生じた過払金返還債務の承継を認めました。
(事件番号:最高裁判所平成23年(受)第516号)。
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81656&hanreiKbn=02

・切替事案と債権譲渡事案で大きく違うのは,プロミスの勧誘に応じて借主が残高確認書兼振込代行申込書をプロミスに提出したか否かです。すなわち,プロミスのクラヴィスに対する過払金返還債務の併存的債務引受という「第三者のためにする契約」に対し,借主が受益の意思表示(民法537条2項)を行ったといえるか否かです(その後プロミスが借主に代わってクラヴィスに残債務を支払った,実際の振込みは最高裁が「形式的処理にすぎない」と言っているくらいですから,それほど意味はないはずです)。


・次に,平成24年2月3日,最高裁判所第二小法廷は,プロミスの債権譲渡事案で,借主側の上告受理申立てを受理し,口頭弁論期日を平成24年3月30日に指定しました。
(事件番号:最高裁判所平成23年(受)第1941号)
ところが,プロミスが平成24年3月15日付答弁書で「上告人らの請求をいずれも認諾する」
とのみ述べ,請求を認諾してしまったため,3月30日の弁論期日の後に出るはずだった最高裁判決が言い渡されなくなってしまいました(この認諾行為の当否については,上告人代理人の伊東先生のHPを参照してください)。

・この弁論指定行為により,下級審では借主側が負け続けていたプロミス債権譲渡事案の潮目が変わり,借主側が勝訴する判決がいくつか出ていました(私も勝訴したものがあります)。
これでこのプロミス債権譲渡事案はカタがついたと思った矢先に6月29日に借主側敗訴の最高裁判決が同一小法廷で出てしまったわけです。

・さすがにわずか数か月で最高裁の判断が変わるとは到底思えません。
そこで,この2つの最高裁の判断の違いは,同じ債権譲渡事案でも事案が異なるのではないかとも考えられます(そうあってほしいです)。

・このままでは貸金業者はとしては,不利な判断が最高裁で言い渡される可能性があれば(弁論指定行為があれば),請求を認諾し,弁論指定行為がなければ判決を取るという行為が横行し,貸金業者に不利な判断は今後最高裁で言い渡されることはないことにもなりかねません。

かかる行為に納得できない私としては,最高裁の判決後も事案の違いを主張して争っていきたいと思います(裁判官は「あっそ…最高裁が出ているのにね…」という感じですごく冷たいですが)。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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# by lawinfo | 2012-07-13 21:22 | 最高裁