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【CFJ合同会社新主張】
・CFJは最近になって,最高裁平成18年1月13日判決(※)以降の借主の弁済は,すべて非債弁済(民法705条)であるから,平成18年判決以降の取引に過払金は発生しないという主張をし始めました。 【※平成18年判決のおさらい】 ・最高裁平成18年1月13日第二小法廷判決・民集第60巻1号1頁 (事件番号:最高裁判所平成16年(受)第1518号) URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52404&hanreiKbn=02 ・貸金業法施行規則15条2項は貸金業法の委任の範囲を超え,違法無効である。 ・利息制限法所定の制限を超える金銭消費貸借取引において,期限の利益喪失特約がある場合は,債務者において,債務者において約定の元本と共に上記制限を超える約定利息を支払わない限り期限の利益を喪失するとの誤解が生じなかったといえるような特段の事情のない限り,制限超過部分の支払は,貸金業法43条1項の任意性がない(みなし弁済規定の適用がない)。 ・この平成18年判決により,みなし弁済規定の適用の余地はほとんどなくなりました。この判決後,過払請求訴訟が全国で多発し,裁判所の新受件数の約3分の1程度が過払い訴訟というくらいにまでなった歴史的な判決といえます。 【本主張の根拠】 ・平成18年判決の言渡しにより,みなし弁済が成立する可能性がなくなったことは,NHKや新聞社が大々的に報道したため,平成18年1月14日には,制限超過利息を支払う義務がないことや,みなし弁済の成立可能性がほぼ存在しないことが公知の事実となった。また,過払金返還請求方法の解説本が多数出版され,インターネットでも過払金の説明サイトができ,借主は過払金返還請求ができることが知りうる状況となった。 ・さらに,最高裁昭和35年4月14日第一小法廷判決・民集第14巻5号849頁や最高裁昭和35年5月6日第二小法廷判決・民集第14巻7号1127頁などから,最高裁は原則として法律・判例等の不知は認めず,特段の事情のみによって民法705条の適用の可否を判断している。 すなわち,法の不知は害するというものである。 【私見】 ・法の不知は害す…久しぶりに聞きましたね。刑法の違法性の認識の議論以来ですね。 まあ,CFJも本気でこの主張をしているとは思えませんが,借主はみなし弁済の適用が事実上なくなったことも,債務の不存在も認識していなかったと言っておけばよいでしょう。 ・そもそも,法律はともかく,判例を知っていることを国民に要求することはムリであるうえ,債務がないことを知らなかったからこそ,借主は平成18年判決後も支払いを続けていたわけでこの主張は通らないでしょう。 実際に債務者から話を伺うと,この平成24年7月の時点ですら「過払いという言葉を初めて知った」とか,引き直し計算をしてみると過払いが出ているのにもかかわらず,「(約定)債務があるのに,支払わなくても大丈夫ですか?」と債務整理の際に依頼者から聞かれます。 それにもかかわらず,借主がみなし弁済規定の成立可能性がなくなったことや債務の不存在を知っていたなんてよっぽどの方でもない限り,ありえないでしょう。 ・というわけで,本主張は変な裁判官が認めてくれればいいなぁという程度の取るに足らない主張だと思われます。 ただ,この「変な裁判官が変な判決を出してくれればいいなぁ主張」は,最近どの貸金業者もするようになってきました。これは東京高裁第●民事部の影響でしょうか(この部はあらゆる論点で貸金業者に有利な判決を書く部です。貸金業者は普通は和解で解決したいといいますが,この部だけは判決でいいですという部があります。みなさんも気をつけましょう)。 ※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。
by lawinfo
| 2012-07-23 22:16
| 過払い訴訟論点
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