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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【最高裁】貸金業者による最高裁弁論指定後の認諾対応

【貸金業者による最高裁弁論指定後の認諾対応】

・9月18日付【当ブログ】で貸金業者の最高裁での逆転敗訴が予想される弁論指定行為後,貸金業者認諾する情勢になっていることを紹介しました。

・消費者側の対応については記載したとおりしかないと考えられますが,最高裁判所としてこのような認諾行為に対して何らかの策を講じてほしいところです。

 最高裁としても弁論を開くということは判断を積極的に示したいからであり(当事者のためではなく,同種事件を最高裁に上告して最高裁の手間を増やしてほしくないという最高裁側の事情で),最高裁としても貸金業者の「上告つぶし」を防ぐ手段を日本最高の頭脳集団として真剣に考えてほしいところです。

・まったく対応策がないかというといくつかの方法が考えられます。

①まず,最高裁の弁論で貸金業者の認諾を何らかの理由で無効だという方法で実際に消費者系の先生たちはこのような主張をされている方もいます。
私としても,先生方の無念いかばかりか…という気持ちではありますが,最高裁として,認諾の無効を認めることはないでしょう(このような主張をされている先生も不当性をアピールされているだけでしょう)。


②次に,現実的な方策として上告理由のない弁論期日指定というやり方が考えられます。
民事訴訟法319条は「上告裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書その他の書類により、上告を理由がないと認めるときは、口頭弁論を経ないで、判決で、上告を棄却すことができる。 」と規定しており,最高裁で高裁判決を逆転させる場合は,最高裁は弁論期日を指定します。
しかし,この条文は上告を理由がないと認めるときは…上告を棄却することが「できる」と規定しているだけで,弁論を開いてはいけないとは規定していません。
そのため,貸金業者側が高裁で敗訴し,貸金業者側が上告受理申立てまたは上告した後,最高裁が弁論期日を指定し,弁論を経たうえで上告棄却判決を言い渡すというものです。
この方法によれば,貸金業者としては最高裁は貸金業者が敗訴した高裁判決を見直すだろうと予測し,最高裁で認諾することはないと考えられるため,貸金業者にとっては予想外の敗訴判決が言い渡されることになります。


③その他の方法として,複数論点で貸金業者が上告受理申立てをした場合に,理由があるものと理由がないものがあっても,両方受理したうえで,理由があるものについては弁論を開いて逆転させ,理由のないものについては貸金業者の実質的な敗訴となる判決内容にする方法です。
民事訴訟法318条3項は「第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。」と規定しており,最高裁の実務は複数論点で重要でない方の論点はこの規定により排除するのが通例です。

しかし,この条項もあくまで「排除することができる」としているだけで排除しなければならないとは規定していません。
そのため,このように判断することも不可能とはいえません。


④以上述べたやり方は法律上そうできなくはないというもので,最高裁としてはこのようなイレギュラーなやり方はあまり積極的にやりたがらないと思われます。
そこで,現実的な方法としてはCFJ不動産担保切替事案のように確かに上告された事件に限っては貸金業者に有利ではあるが、その他の大部分の貸金業者にとっては逆に不利になるという事案で,判決を下すという流れになるのではないかと(勝手に)予想しています。
法廷意見】 【補足意見


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2012-09-21 22:36 | 最高裁
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