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【弁護士による債務整理開始通知の破産法162条1項1号イ及び3項の「支払の停止」該当性】
・最高裁平成24年10月19日第二小法廷判決 (事件番号:最高裁判所平成23年(受)第462号・否認権行使請求事件) URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82647&hanreiKbn=02 【本件のポイント】 ・本件通知には,「当職らは,この度,後記債務者から依頼を受け,同人の債務整理の任に当たることになりました。」,「今後,債務者や家族,保証人への連絡や取立行為は中止願います。」などと記載されていた。 ・本件通知には,Aの債務に関する具体的な内容や債務整理の方針は記載されておらず,本件弁護士らがAの自己破産の申立てにつき受任した旨も記載されていなかった。 【「支払の停止」とは…】 ・最高裁昭和60年2月14日第一小法廷判決 (事件番号:最高裁判所昭和59年(オ)第467号・集民第144号109頁) URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62938&hanreiKbn=02 「破産法七四条一項の「支払ノ停止」とは、債務者が資力欠乏のため債務の支払をすることができないと考えてその旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為をいうものと解すべき」 【判示事項】 「本件通知には,債務者であるAが,自らの債務の支払の猶予又は減免等についての事務である債務整理を,法律事務の専門家である弁護士らに委任した旨の記載がされており,また,Aの代理人である当該弁護士らが,債権者一般に宛てて債務者等への連絡及び取立て行為の中止を求めるなどAの債務につき統一的かつ公平な弁済を図ろうとしている旨をうかがわせる記載がされていたというのである。そして,Aが単なる給与所得者であり広く事業を営む者ではないという本件の事情を考慮すると,上記各記載のある本件通知には,Aが自己破産を予定している旨が明示されていなくても,Aが支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないことが少なくとも黙示的に外部に表示されているとみるのが相当である。 そうすると,Aの代理人である本件弁護士らが債権者一般に対して本件通知を送付した行為は,破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」に当たるというべきである。」 【本判決の射程】 ・須藤正彦裁判官の補足意見にはこの最高裁判決の射程について,わざわざ言及しています。 この補足意見によると,今回の最高裁判決は債務が多数ある個人の債務者や小規模事業者の場合を対象としていて,一定規模以上の企業には該当しないようです。 【最近の補足意見】 ・最近,最高裁判決にはこのように射程について補足意見で述べることが増えてきたように思います。 わかりやすさという観点からはこの方がいいのかもしれませんが,そもそも二義を許さないような判決理由にすればいいだけのような気もします。これでは最高裁自らわかりにくい判決を書きましたと言っているようなものです。 ・また,須藤正彦裁判官の補足意見のように,本来は外形的客観的判断に実質的・規範的な判断を持ち込むことには疑問を感じます。 【私見】 ・今回の判決は完全に事例判決だと思われ,実際の「債務整理開始通知」を見ないとなんともいえないところはあります。 しかし,今後の債務整理の方針や自己破産の受任の記載がないのに,本当に「支払の停止」に該当するんでしょうか。 たとえば,完全に全社完済(約定残で完済・解約済み)している場合で過払い請求する場合にも,弁護士・司法書士によっては同じ内容の「債務整理開始通知」を送付している場合もあると思います。 この場合に「支払の停止」に該当することはないでしょう。 したがって,この判決は債務者が実際に破産するほどの債務を負っている事案に限定すべきであって,射程は一層狭い判決なのではないかと思います。その意味で,最高裁がHPで取り上げるほどの価値がある事案だったのかについて疑問に感じます。 ・ただ,残あり介入と過払い請求のみの依頼者で同じ内容の「債務整理開始通知」を使わず,きちんと別のものを用意した方がいいでしょうね。まあ,完全完済案件だと,偏頗弁済が問題とならないため問題ないともいえますが。 ※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
by lawinfo
| 2012-10-19 22:10
| 最高裁
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