とある弁護士のひとりごと

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【過払い論点】制限利率以下の取引における悪意の受益者性①

【プロミス新主張:制限利率以下の取引における悪意の受益者性①】

・プロミス(現:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)は,最高裁平成23年12月1日判決以降,悪意の受益者性についてATM明細書をすべて提出しないようになり,あまり本気で争わなくなってきています。

・ただ,最近では,最高裁平成18年1月13日判決以降,約定利率が制限利率を下回っている取引(たとえば,制限利率が0.18の場合,約定利率が0.178の場合など)について,新しい主張をするようになってきています(とある埼玉のプロミスの代理人事務所が始めた主張です)。
 この場合,取引当初は制限利率以上なので,最高裁平成19年7月13日判決により,約定利率が制限利率となる以前の取引については悪意の推定が及ぶことになります。
しかし,約定利率が制限利率以下となった部分については,制限超過利息を前提とした最高裁平成19年判決の射程が及ばないため,悪意の受益者性については,消費者側が主張立証責任を負うことになります。この点が最大の問題意識です。

・この主張はかつてのように,大量にATM明細書等を証拠で提出する必要がなくお手軽な主張のため,今後この主張をする業者が増えていく可能性があります。

・下記裁判例のように,①約定利率が制限利率以下になった時点ですでに継続的過払い状態であった事案は,最高裁平成23年12月1日判決の理屈で容易に勝つことができます。問題は,②約定利率が制限利率以下になった時点で継続的過払い状態でなかった事案でも悪意の受益者であるといえるかです。


【裁判例】
①東京高裁平成24年9月25日第7民事部判決(市村陽典部総括判事)
(事件番号:東京高等裁判所平成24年(ネ)第4142号)
事案:約定利率が制限利率以下になった時点ですでに継続的過払い状態
「控訴人(※SMBC)は被控訴人Eとの取引においては,平成20年6月4日に約定利率を利息制限法所定の制限利率以内に変更したから,同日以降は,控訴人が悪意の受益者であるとの推定は働かず,いわゆる過払利息は発生しないとも主張する。
 しかし,当審計算書5②のとおり,被控訴人Eと控訴人との間の取引経過は,平成20年6月4日よりも前から過払の状態となり,その後も取引は継続して過払の状態となり貸金債務は存在していなかったことが認められるから,同日以降は,利息が発生する余地はなく,この時期に制限超過部分の支払につき貸金業法43条1項を適用してこれを有効な利息の支払とみなすことができないことは明らかである。そうすると,被控訴人Eと控訴人との間の取引につき,同日以降,利息制限法の制限利率内に利率が変更されたとしても,控訴人がそれまでに発生した過払金の取得につき悪意の受益者である以上,この時期に発生した過払金の取得についても悪意の受益者であることを否定することはできない。」

②東京高裁平成24年9月27日第24民事部判決(三輪和雄部総括判事)
(事件番号:東京高等裁判所平成24年(ネ)第4222号)
 事案:約定利率が制限利率以下になった時点で利限残があり,その後,過払いになり,また残ありになる取引
「変更後の約定利率に基づく返済については,①その返済の直前における借受金残額(その時点までの利息を含むもの)が返済金総額を上回っている場合には,その返済金の受領にはそもそも不当利得は発生しないことになるが,②その返済直前における借受金残額が返済金総額に満たない場合には,その差額分に対応する元利金債権は存在していないのであり,③その返済時点で既に過払の状態にある場合には貸金債権が存在していないのであるから,控訴人(※SMBC)がそれまでに発生してした過払金の取得につき悪意の受益者である以上,②及び③の場合において発生した過払金の取得ついても悪意の受益者であるというべきである。控訴人の主張を前提としても,以上の結論に変わりがないことは明白である。」


【雑感】
・要は,制限利率以下の取引であっても,制限利率以上の取引から継続するものについては,制限利率以上の利息をとっていたら悪意の受益者であるということです。
今後この点についてさらに検討していきたいと思います。


※上記の意見・判決などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2012-12-13 23:15 | 過払い訴訟論点
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