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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【刑事事件】横浜地裁平成25年4月17日判決

【傷害事件無罪判決】
・横浜地裁平成25年4月17日第3刑事部判決・朝山芳史裁判長
(事件番号:横浜地方裁判所平成24年(わ)第996号・傷害被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83241&hanreiKbn=04


【公訴事実】
「被告人は,平成24年5月23日午前11時30分頃から同日午後0時頃までの間,神奈川県藤沢市a町b番地所在のc団地d号棟e号室被告人方居室内において,A(当時17歳)に対し,仰向けになった同女の大腿部を足で数回踏みつけた上,金属バットで数回殴打するなどし,よって,同人に加療約10日間を要する両大腿部挫傷の傷害を負わせた。」


【求刑】
・懲役1年6月


【主文】
「被告人は無罪」


【判示事項】
「Aの証言には,その供述内容自体に疑問があるほか,根幹部分において再現見分と矛盾しており,Aや被告人の事後の行動ともそぐわないものであって,その信用性には重大な疑問がある。また,Cら関係者の各証言も,Aの被害を裏付けるに足りるものでないことは,既にみたとおりである。
4 他方,被告人は,公判廷において,一貫して犯行を否認し,本件当時,被告人方で,Aと二人きりになった後,Aの口のきき方が悪いことなどが原因でけんかをしたことはあるが,Aに対して,公訴事実記載の暴行を加えたことはなく,被告人が包丁でリストカットしようとし,Aがそれを止めに入ったことはあったが,包丁をAに押し当てようとしたことはないと供述している。
上記の被告人の供述は,前記の争いのない事実とも矛盾がなく,その信用性を排斥することはできない。
5 以上によれば,本件公訴事実については犯罪の証明がないので,刑事訴訟法336条により,被告人に対し無罪の言渡しをする。」


【雑感】
・客観的な事実から説得的に無罪へと導いている固い判決で,高裁でも維持できうるレベルの判決だと思います。
・朝山部長は,若くして局付→最高裁調査官とまさにエリート裁判官ですが,高裁でも耐えられるレベルの判決を書かれたなぁと思います。
 ただ,判決を書きながらいい気分になったのか,筆が滑って書かなくてもいいことを思わず書いちゃった感もあります。楽しんで事実認定したことが判決書から伝わってきます。


※上記の判決・意見などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2013-05-10 16:59 | 刑事事件
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