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【遺族補償年金等不支給決定と夫のみに設けられた年齢要件】
・大阪地裁平成25年11月25日第5民事部判決・中垣内健治裁判長 (事件番号:大阪地方裁判所平成23年(行ウ)第178号・遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件) URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83814&hanreiKbn=04 【事案の概要】 ・公務による精神障害のため自殺した地方公務員だった者の夫が,処分行政庁がした遺族補償年金等の不支給決定の取消しを求めた事案 【争点】 ・地方公務員災害補償法32条1項ただし書1号が,遺族補償年金の受給要件として,配偶者のうち夫についてのみ「60歳以上」(同法附則7条の2第2項により,当分の間「55歳以上」)との要件を付加していることは,憲法14条1項に違反するか。 【主文】 1 地方公務員災害補償基金大阪府支部長が,原告に対し,平成23年1月5日付けでした遺族補償年金,遺族特別支給金,遺族特別援護金及び遺族特別給付金の不支給決定をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告及び参加行政庁の負担とする。 【判示事項】 「遺族補償年金制度につき具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は,上記制度の性格を踏まえた立法府の合理的な裁量に委ねられており,本件区別が立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,そのような区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,憲法14条1項に違反するものと解するのが相当である。」 「地公災法の立法当時,遺族補償年金の受給権者の範囲を画するに当たって採用された本件区別は,女性が男性と同様に就業することが相当困難であるため一般的な家庭モデルが専業主婦世帯であった立法当時には,一定の合理性を有していたといえるものの,女性の社会進出が進み,男性と比べれば依然不利な状況にあるとはいうものの,相応の就業の機会を得ることができるようになった結果,専業主婦世帯の数と共働き世帯の数が逆転し,共働き世帯が一般的な家庭モデルとなっている今日においては,配偶者の性別において受給権の有無を分けるような差別的取扱いはもはや立法目的との間に合理的関連性を有しないというべきであり,原告のその余の主張について判断するまでもなく,遺族補償年金の第一順位の受給権者である配偶者のうち,夫についてのみ60歳以上(当分の間55歳以上)との本件年齢要件を定める地公災法32条1項ただし書及び同法附則7条の2第2項の規定は,憲法14条1項に違反する不合理な差別的取扱いとして違憲・無効であるといわざるを得ない。」 【雑感】 ・本判決は時代の変化から法律の合理性を詳細に検討しており,その中でも「児童扶養手当法4条」との対比を重視しているように見えます(39頁)。これは判決書が指摘しているとおり,原告が主張していたことであり,この原告代理人弁護士の構成がよかったからこの違憲判決が出たということができると思います。お見事というほかありません。 ・東京地裁の成年被後見人の選挙権制限の違憲判決(東京地裁平成25年3月14日判決・定塚誠裁判長)に続いて,地裁でも違憲判決が出るようになったなぁと感じます。 ・東京地裁の方はすぐに立法の改正へと動き出しましたが,この件はどうなるか今後の展開に期待です。 ※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断で情報の取捨選択をお願いします。
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| 2013-12-13 23:06
| 労働事件
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