とある弁護士のひとりごと

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【裁判員裁判】最高裁平成26年7月24日判決

【裁判員裁判における量刑判断】
・最高裁平成26年7月24日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第689号・傷害致死被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84336&hanreiKbn=02


【主文】
「原判決及び第1審判決を破棄する。
 被告人Aを懲役10年に,被告人Bを懲役8年に処する。
 被告人両名に対し,第1審における未決勾留日数中各400日を,それぞれその刑に算入する。」


【判示事項】
「指摘された社会情勢等の事情を本件の量刑に強く反映させ,これまでの量刑の傾向から踏み出し,公益の代表者である検察官の懲役10年という求刑を大幅に超える懲役15年という量刑をすることについて,具体的,説得的な根拠が示されているとはいい難い。その結果,本件第1審は,甚だしく不当な量刑判断に至ったものというほかない。同時に,法定刑の中において選択の余地のある範囲内に収まっているというのみで合理的な理由なく第1審判決の量刑を是認した原判決は,甚だしく不当であって,これを破棄しなければ著しく正義に反すると認められる。」


【白木勇判事補足意見】
「量刑の先例やその集積である量刑の傾向は,それ自体としては拘束力を持つものではないし,社会情勢や国民意識の変化などに伴って徐々に変わり得るものである。しかし,処罰の公平性は裁判員裁判を含む刑事裁判全般における基本的な要請であり,同種事犯の量刑の傾向を考慮に入れて量刑を判断することの重要性は,裁判員裁判においても何ら異なるものではない。そうでなければ,量刑評議は合理的な指針もないまま直感による意見の交換となってしまうであろう。
 こうして,量刑判断の客観的な合理性を確保するため,裁判官としては,評議において,当該事案の法定刑をベースにした上,参考となるおおまかな量刑の傾向を紹介し,裁判体全員の共通の認識とした上で評議を進めるべきであり,併せて,裁判員に対し,同種事案においてどのような要素を考慮して量刑判断が行われてきたか,あるいは,そうした量刑の傾向がなぜ,どのような意味で出発点となるべきなのかといった事情を適切に説明する必要がある。このようにして,量刑の傾向の意義や内容を十分理解してもらって初めて裁判員と裁判官との実質的な意見交換を実現することが可能になると考えられる。」


【雑感】
・裁判員裁判の量刑についての判断。
・裁判員の市民感覚を取り入れ,求刑の1.5倍の刑を言い渡した第1審判決を高裁が維持し,最高裁が破棄した事案です。

・最高裁は,自分たちが推し進めている裁判員裁判について,裁判員の感覚がおかしいということはできないため,破棄の理由を「説明不足」にしています。
 しかし,これは詭弁で,最高裁がいいたいことは,裁判所にとって最も信頼できる検察官の求刑を大きく離れた裁判員の量刑感覚はおかしいといっているにほかなりません。
・結局,この判決により従来どおりの価値判断以上の量刑判断はないことになるので,裁判員が判断しようが,職業裁判官が判断しようがほとんど変わらないことになり,結局,裁判員裁判を続ける意味はないと思います。
・今後裁判員に選任されると,職業裁判官から「最高裁が従来の量刑傾向から離れたものは認められないといっているので,量刑は従来どおりにするしかない」と説得され,裁判員は結局その判断を追認するだけの機関となってしまうことが危惧されます。忙しい裁判員が時間を割いているのに,結局裁判員の意向が反映されないとなれば,一層裁判員のなり手がなくなってしまうことでしょう。

・本判決の大阪高裁判決の要旨欄を読む限り,大阪高裁の判決理由はおそまつにすぎます。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2014-07-25 00:12 | 刑事事件
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