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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
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【外れ馬券の経費性】最高裁平成27年3月10日判決

【外れ馬券の経費該当性】
・最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成26年(あ)第948号・所得税法違反被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84934


【事案の概要】
・被告人は,馬券を自動的に購入できる市販のソフトを使用して馬券を購入していた。被告人は,同ソフトを使用して馬券を購入するに際し,馬券の購入代金の合計額に対する払戻金の合計額の比率である回収率を高めるように,インターネット上の競馬情報配信サービス等から得られたデータを自らが分析した結果に基づき,同ソフトに条件を設定してこれに合致する馬券を抽出させ,自らが作成した計算式によって購入額を自動的に算出していた。この方法により,被告人は,毎週土日に開催される中央競馬の全ての競馬場のほとんどのレースについて,数年以上にわたって大量かつ網羅的に,一日当たり数百万円から数千万円,一年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていた。実際に本件の公訴事実とされた平成19年から平成21年までの3年間は,平成19年に約1億円,平成20年に約2600万円,平成21年に約1300万円の利益を上げていた。


【判示事項】
「被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ,一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では,払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとした原判断は正当である。
(中略)
外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係の下では,外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとした原判断は正当である。」


【雑感】
・1審以来非常に興味のあった事件。最高裁も結論として,外れ馬券の購入費用を必要経費と認めました。
・しかし,1審以来気になっていたのですが,あくまでこの結論は,本件のようないわば職業的な自動ソフトを使った場合のみで,趣味程度では経費として認められないのではないかと思います。この判決によって,経費申告する人は,本判決の射程が及ばないという判断もありうることを肝に銘ずるべきです。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-03-10 23:40 | 最高裁
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