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とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
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【過払い訴訟論点】最高裁平成27年6月1日判決

【CFJ債権譲渡と異議なき承諾】
・最高裁平成27年6月1日第二小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成26年(受)第1817号・不当利得返還請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85133


【争点】
・マルフク・タイヘイからCFJに貸金債権が譲渡された際に,債務者が約定残高の記載がされた書面に異議なき承諾をした(債務者の署名あり)。この場合,譲渡された貸金残高は約定残高か,引き直し計算された額か。


【判示事項】
「民法468条1項前段は,債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をしたときは,譲渡人に対抗することができた事由があっても,これをもって譲受人に対抗することができないとするところ,その趣旨は,譲受人の利益を保護し,一般債権取引の安全を保障することにある(最高裁昭和42年(オ)第186号同年10月27日第二小法廷判決・民集21巻8号2161頁参照)。そうすると,譲受人において上記事由の存在を知らなかったとしても,このことに過失がある場合には,譲受人の利益を保護しなければならない必要性は低いというべきである。実質的にみても,同項前段は,債務者の単なる承諾のみによって,譲渡人に対抗することができた事由をもって譲受人に対抗することができなくなるという重大な効果を生じさせるものであり,譲受人が通常の注意を払えば上記事由の存在を知り得たという場合にまで上記効果を生じさせるというのは,両当事者間の均衡を欠くものといわざるを得ない。
 したがって,債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても,このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当である」


【雑感】
・この事件はCFJが高裁で勝った事件ですが,高裁でCFJが負けた方も上告されており(上告棄却・事件番号:最高裁判所平成26年(受)第2344号),最高裁が判断を統一するために,弁論を開いていました。
・この事件はCFJが異議なき承諾を書面でとっていて訴訟になればその書面が出てきたことから,一時期CFJが有利でした。しかし,何年か前から高裁でCFJが立て続けに負けたくらいから流れが明らかに変わり,近時はCFJの負けの流れが固まっていたことから,CFJが最高裁で負けることは予想されていました。

・民法に関する話としては,異議なき承諾をしても,譲受人が悪意又は重過失があれば対抗できるというのが一般的でしたが,本判例で譲受人に過失があれば対抗できると判示していることから,結構重要な判例になるかもしれません。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-06-01 23:24 | 過払い訴訟論点
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