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【犯人性無罪判決】
・大阪地裁平成27年5月29日第2刑事部判決・小倉哲浩裁判長 (事件番号:大阪地方裁判所平成25年(わ)第5047号・窃盗,建造物侵入未遂,建造物侵入,強盗殺人未遂被告事件) URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85164 【公訴事実】 「第1 平成25年3月25日午前0時23分頃,大阪市a区路上において,同所に駐車中のA所有又は管理の現金約3300円及びシャッターの鍵等5点積載の普通乗用自動車1台(時価合計約30万100円相当)を窃取した, 第2 金品窃取の目的で,同日午後8時51分頃,有限会社B取締役Cが看守する同区所在の仕出し弁当屋「B」店舗に侵入しようと考え,前記シャッターの鍵を使用して同店舗のシャッターを解錠しようとしたが,シャッターを解錠することができなかったため,その目的を遂げなかった, 第3 金銭に窮し,かつて勤務していた前記B店舗に押し入り,現金を強奪しようと考え,同月26日午後11時34分頃,前記Cが看守する同店舗に侵入し,同店舗において,同店調理師である前記A(当時70歳)に対し,その背後から,同人の後頭部を殴打してその場に仰向けに転倒させ,殺意をもって,同店舗内にあった包丁(刃体の長さ約18.4cm)で同人の腹部,胸部を順に突き刺し,その反抗を抑圧した上,同店舗内にあった同人管理の現金約16万円を強奪したが,同人に全治136日間を要する後頭部打撲,腹部・胸部刺創,腸管損傷,第4腰椎横突起骨折,外傷性肺損傷等の傷害を負わせたにとどまり,殺害の目的を遂げなかった」 【検察官の求刑】 ・懲役30年 【主文】 「被告人は無罪。」 【判示事項】 「検察官の犯人性立証の中心である犯人自転車と被告人自転車の同一性については,両者が類似しており矛盾しないといい得るにとどまり,同一性を強く推認させるような固有の特徴が一致しているとはいえないのであって,被告人が犯人であることを強く推認させるような事情とまではいえない。その他の事実については,被告人が犯人であることを強く推認させるような事情がある場合に,これを補強し,併せて考慮することにより,残された疑いが払拭されることがあり得るとしても,それ自体では,被告人が犯人であることと矛盾しないといい得るにとどまるものである。そうすると,検察官が主張する全事実関係を踏まえて検討しても,被告人が犯人であったとしても矛盾しない証拠は多々認められるものの,被告人が犯人でなければ説明が困難であるといえるほどの証拠状況にはなく,常識に照らして判断すると,被告人が犯人で間違いないということを検察官が立証できたとは認め難い。」 【雑感】 ・見た瞬間,司法研修所での刑裁起案を思い起こす事案です。 ・重大事件の犯人性が争点の事案を裁判員のみなさんが判断されるのはかなり大変だったと思われます。 ・この事案をそのまま修習生に起案させたら,修習生の間でかなり結論が割れるくらい難しい事件だと思います。何も考えず有罪にしておけという雑な修習生も多いことでしょう。 ・この部長は某法科大学院で派遣裁判官として,刑事裁判実務Ⅱ(証拠法と事実認定)という授業を担当していたようですが,まさに検察官の証拠が足りていないとして無罪判決にしたのは,教え子にいっていることと矛盾はしていないですね。 ※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
by lawinfo
| 2015-06-18 23:49
| 刑事事件
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