とある弁護士のひとりごと

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【無罪判決】横浜地裁平成27年7月7日判決

【殺人未遂罪一部無罪判決】
・横浜地裁平成27年7月7日第4刑事部判決(成川洋司裁判長)
(事件番号:横浜地方裁判所平成26年(わ)第1200号・殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=85302


【公訴事実】
「第1 法定の除外事由がないのに,平成26年4月27日午後8時4分頃,神奈川県藤沢市内のマンション駐車場北側において,所携の回転弾倉式けん銃(平成27年押第31号の1)で弾丸1発を発射し,もって不特定又は多数の者の用に供される場所において,けん銃を発射した。
第2 法定の除外事由がないのに,同日午後8時25分頃,同市内の路上において,前記回転弾倉式けん銃1丁をこれに適合するけん銃実包6発(平成27年押第31号の2,7,4,9。ただし,同号の2及び9は鑑定時の分解検査により弾頭,薬莢及び火薬に分離したもの,同号の4は鑑定時の試射により弾頭及び空薬莢に分離したもの。)と共に携帯して所持した。」


【争点】
・殺人未遂罪が成立するか。①被告人が本件けん銃の銃口をパトカーの後部座席に向けて引き金を引いたか,②銃口を向けたとされるパトカーの後部座席にA警部がいたことを被告人が認識していたか。


【求刑】
・懲役14年並びにけん銃1丁,実包5個及び金属片2片の没収


【主文】
「被告人を懲役5年に処する。
未決勾留日数中180日をその刑に算入する。
押収してある回転弾倉式けん銃1丁(平成27年押第31号の1),実包5個(同号の2,7,9)及び金属片2片(同号の4)を没収する。
本件公訴事実中殺人未遂の点については,被告人は無罪。」


【判示事項】
「そこで,次に,B証言の信用性を検討する。
車載カメラ映像と判示第1記載のマンションに設置された防犯カメラ2の映像につき,同一出来事が起こった際の各表示時刻を基準にすると,その表示時刻の差は弁護人指摘のとおり約3分42秒であると認められる。これを前提にカチカチ音がした瞬間に相当する時間の防犯カメラ映像(同表示時刻午後8時27分41秒から午後8時27分42秒)を見てみると,その際,被告人はパトカーの運転席脇付近を後方から前方へと移動中であったことが認められる。このことは,被告人が後部座席窓ガラスに正対し,同窓ガラスにけん銃を突き付けているときにカチカチ音が聞こえた旨のB証言と明らかに矛盾しており,B証言はその点のみでも信用できないといわざるを得ない
…以上のとおり,争点①②はいずれも肯定することができず,本件公訴事実中殺人未遂の点については犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により被告人に対し無罪の言渡しをする。」



【雑感】
・銃を使った殺人未遂罪の珍しい無罪判決。パトカーの車載カメラを検察が証拠提出しなければ,認識の問題も含めて有罪となっていたかもしれません。
・通常,このような無罪判決を出される可能性があるときは,「訴因変更」というごまかしを検察としてはよくやるわけですが(このプログでとりあげた事件の中でも「変更後の訴因」で有罪となったものは多数あります),今回訴因変更をしていないのは,裁判員裁判ではそのようなごまかしは止めた方がよいという判断なのでしょうか。それとも,これだけ客観的な矛盾を弁護人に指摘されながら,有罪の確信が検察にあったのでしょうか(それはそれで問題)。
・この無罪判決が確定したら,さすがに偽証(裁判所に「非常に不自然」とまで言われている)または虚偽告訴の疑いのある警察官への処分も検討されるべき事案でしょう。検察としてはお仲間警察の起訴はしないでしょうけど。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2015-09-07 23:03 | 刑事事件
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