とある弁護士のひとりごと

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【遺産分割の対象】最高裁平成28年12月19日大法廷判決

【遺産分割の対象】
・最高裁平成28年12月19日大法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成27年(許)第11号・ 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86354


【判例要旨】
「預貯金一般の性格等を踏まえつつ以上のような各種預貯金債権の内容及び性質をみると,共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。
 以上説示するところに従い,最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁その他上記見解と異なる当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。」


【雑感】
・以前,このブログでも取り上げていた注目の大法廷による判例変更です。
 さんざん,家裁が対象外と言い続けていたにもかかわらず,「準共有」状態などと言い出し,当然分割のものと当然分割されない債権があるという一番わかりにくい結論をとることになりました。


【今後の手続】
・今後預金債権は相続人全員で行使しなければならないので,「共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合」は,「遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用する」ことになるそうです。
 ここまで変更になると実務上手続が大変になるだけで,かえってよくないのではないかと思います。

・私は大橋「意見」(判決の結論として,破棄差戻の結論自体は一緒だが,理論の根本がまったく多数意見とは異なり,事実上の反対意見とさえいえる)に賛成です。多数意見はこの件だけの解決を考えているようですが,統一的な解釈基準を設定するのが最高裁の役割のはずです。これではまた問題が起きた時に,そのとき考えようといっているようなもので,実務家の意見とは到底思えません。

※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2016-12-19 23:37 | 最高裁
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