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2012年 12月 27日 ( 1 )


【NHK放送受信料】札幌高裁平成24年12月21日上告審判決

【NHK放送受信料と短期消滅時効】
・札幌高裁平成24年12月21日第2民事部上告審判決
(事件番号:札幌高等裁判所平成24年(ツ)第4号・放送受信料請求上告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82870&hanreiKbn=04


【事案の概要】
・放送受信契約に基づく未払受信料のうち平成17年11月以前の分は5年の短期消滅時効が完成したとして請求を棄却し,その余の請求を認容した原審の判断を相当として,双方の上告を棄却した。


【主文】
1 本件上告をいずれも棄却する。
2 上告人の上告費用は上告人の,被上告人の上告費用は被上告人の各負担とする。


【判示事項】
(上告人の主張に対し)
「民法169条は,「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権」,すなわち,基本権たる定期金債権から発生する支分権であって,かつ,その支分権の発生に要する期間が1年以下であるものについては,期限のとおり弁済がなされなければ,債権者にとって支障を生ずることが通常であり,したがって,債権者が長くその請求を怠ること及び債務者が長くその弁済を怠ることが少なく,かつ,その額も通常多額ではないから,債務者が長くその受取証を保存することがまれであるため,5年の短期消滅時効を定めたものである。本件受信料債権は,本件受信契約という基本契約に基づく支分権であり,日本放送協会放送受信規約のとおり,月額が定められ,2か月毎に支払をなす金銭債権であるから,上記の趣旨に合致する債権であり,民法169条所定の「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権」に該当することは明らかである(東京高等裁判所平成24年2月29日判決・判例時報2143号89頁参照)」

(被上告人の主張に対し)
「被上告人は,本件受信料債権が,①1年の短期消滅時効を定めた民法174条2号の「自己の労力の提供…を業とする者の…供給した物の代価に係る債権」に当たる旨,②2年の短期消滅時効を定めた民法173条1号の「生産者…が売却した…商品の代価に係る債権」ないし同条2号の「自己の技能を用い,注文を受けて,物を製作…することを業とする者の仕事に関する債権」に当たる旨主張する。しかしながら,放送の性質等に照らし,上告人を民法174条2号の「労力者」や民法173条1号の「生産者」と解することは困難である。また,上告人の業務の性質・内容(旧放送法7条[新放送法15条],旧放送法9条[新放送法20条]等参照)からして,上告人が民法173条2号の「自己の技能を用い,注文を受けて,物を製作」することを業とする者に当たると解することも困難である。したがって,本件受信料債権が民法174条2号ないし173条1号及び2号の債権に当たるとする被上告人の主張は採用できない。」


【雑感】
・この争点はアコムが過払利息は民法169条の定期給付債権に該当し,5年の短期消滅時効にかかるというおよそ認められない主張をして以来,他の事案でも適用があるかについて,私が非常に関心をもっている分野です。

・被上告人が5年以外の短期消滅時効の主張をしてくれたことから,他の短期消滅時効のことも判断してくれているので,短期消滅時効全体のことを総合的に考えることができます。

・NHK放送受信料についての高裁上告審判決なので,非常に重要な判決といえます。
同種事件は各地で提起されていることから,おそらくいずれ最高裁の判断が言い渡されると思われます。NHK放送受信料が5年の定期給付債権に該当するという判断が最近増えてきていることから,個人的には最高裁でこの判断が覆る可能性は低いと思います。



※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。
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by lawinfo | 2012-12-27 23:50 | 消費者問題