人気ブログランキング |

とある弁護士のひとりごと

とある弁護士のブログ。時事ネタや法律・判例情報・過払い訴訟の論点解説など
by lawinfo
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
最新の記事
画像一覧

カテゴリ:最高裁( 61 )


【予備的相殺の抗弁の可否】最高裁平成27年12月14日判決

【時効消滅したことを条件とする反訴請求事件における予備的相殺の抗弁の可否】
・最高裁平成27年12月14日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(オ)第918号・ 不当利得返還請求本訴,貸金請求反訴事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85543


【事案の概要】
・Xは第1取引と第2取引の間が1年9か月あいていたが,一連を前提に過払金を請求した。貸金業者Yは取引の分断を主張し,第1取引については消滅時効を援用し,第2取引については貸金反訴請求をした。
Xは分断と判断され,第1取引の過払金返還請求権が時効にかかるならば,第2取引の貸金債権と第1取引の過払金返還請求権を対当額で相殺するとの意思表示をした。
・原審東京高裁は取引の分断と判断したが,相殺の抗弁については判断せず,Yの貸金請求等を認容した。


【主文】
「1 原判決のうち被上告人の反訴請求を認容した部分を破棄する。
 2 前項の部分につき,本件を東京高等裁判所に差し戻す。
 3 上告人のその余の上告を棄却する。
 4 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。」


【判示事項】
「本訴において訴訟物となっている債権の全部又は一部が時効により消滅したと判断されることを条件として,反訴において,当該債権のうち時効により消滅した部分を自働債権として相殺の抗弁を主張することは許されると解するのが相当である。」


【雑感】
・原審の東京高裁が相殺の抗弁が許されないと判断したのか,単なる判断をし忘れたのかわかりませんが,当然に相殺の抗弁は許されるでしょう。
・最高裁が重複起訴禁止の点を挙げていることからすれば,これに触れると東京高裁は判断したのかもしれませんが,いずれにしても重複起訴禁止の趣旨に反しないことは明白なので,東京高裁の判断はまったく理解できません。

・まあ,別訴の場合の重複起訴禁止の判例(最高裁平成3年12月17日第三小法廷判決)があるため,本訴の場合は禁止されるのかという議論はありえ,民訴の本には掲載される判例かもしれませんが,まあ当然許されるでしょうというあっさりしたコメントが付される程度の事件でしょうね。


【参照】
・最高裁平成3年12月17日第三小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52737


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-12-16 23:23 | 最高裁

【認知症と人身事故】最高裁平成28年2月2日弁論

【認知症の方が人身事故を起こした場合の家族の監督責任】
・最高裁第三小法廷がこの争点で,平成28年2月2日に弁論を開くことを決めました。

・このブログでも,以前,【こちら】で,本件の原審名古屋高裁判決を取り上げました。

・この手の判断は慎重に下級審裁判例の集積を待って最高裁が統一的判断を示すと思っていましたが,世間的な批判が強いからか,最高裁は思ったより早く判決を出すようです。おそらく,平成28年3月中旬~下旬くらいには出ると思われます。

・この最高裁判決は,超高齢化社会における判断能力が十分ではない高齢者と社会のあり方を示す判決になるかもしれません。非常に重要な判決になることは間違いありません。時間のある方は最高裁の弁論を傍聴されるのもいいでしょう。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-11-11 23:14 | 最高裁

【武富士通知処分取消訴訟】最高裁平成27年4月14日決定

【武富士更正すべき理由がない旨の通知処分の取消等請求訴訟上告審決定】
・最高裁平成27年4月14日決定
URL:http://www.tfk-corp.jp/pdf/150422_1.pdf


【決定】
「本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。」


【その他の係属事件】
・その他の事件は以下をご覧ください。
URL:http://www.tfk-corp.jp/pdf/150422_2.pdf


【雑感】
・この件についてはもともと上告審で覆る可能性は低く,難しいと思っていました。過払い債権者はもう武富士のことはかなり忘れているころなので,そろそろ全体的に,終わらせる方向で幕引きする方向に管財人も動いた方がいいかもしれません。逆にいえば,みんな忘れているからこのままずっとやるのも一つの考え方ですが…。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-04-27 23:23 | 最高裁

【損害賠償】最高裁平成27年4月9日判決

【親権者の直接的な監視下にない未成年者に対する親権者の監督義務の程度】
・最高裁平成27年4月9日第一小法廷判決・山浦善樹裁判長
(事件番号:最高裁判所平成24年(受)第1948号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85032


【事案の概要】
・愛媛県の公立小学校に通学していた当時11歳11か月の男子児童が,平成16年2月25日の放課後,学校の校庭で友達と一緒にサッカーボールを用いてフリーキックの練習をしていた。
・男子児童が,同日午後5時16分頃,ゴールに向かってボールを蹴ったところ,そのボールは,本件校庭から南門の門扉の上を越えて橋の上を転がり,本件道路上に出た。折から自動二輪車を運転して本件道路を西方向に進行してきた80代の被害男性(大正7年3月生まれ)は,そのボールを避けようとして転倒し,本件事故により左脛骨及び左腓骨骨折等の傷害を負い,入院中の平成17年7月10日,誤嚥性肺炎により死亡した。
・被害男性の遺族が,男子児童の両親に対し,民法709条また714条1項に基づき損害賠償請求をした事案。
・1審・2審とも被害男性の遺族の損害賠償請求を一部認容したところ,両親側が上告受理申立てをした。


【主文】
「1 原判決中,上告人らの敗訴部分をいずれも破棄する。
2 第1審判決中,上告人らの敗訴部分をいずれも取り消す。
3 前項の取消部分に関する被上告人らの請求をいずれも棄却する。
4 第1項の破棄部分に関する承継前被上告人Aの請求に係る被上告人X2及び同X3の附帯控訴を棄却する。
5 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。」


【判示事項】
「責任能力のない未成年者の親権者は,その直接的な監視下にない子の行動について,人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務があると解されるが,本件ゴールに向けたフリーキックの練習は,上記各事実に照らすと,通常は人身に危険が及ぶような行為であるとはいえない。また,親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は,ある程度一般的なものとならざるを得ないから,通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は,当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り,子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。Cの父母である上告人らは,危険な行為に及ばないよう日頃からCに通常のしつけをしていたというのであり,Cの本件における行為について具体的に予見可能であったなどの特別の事情があったこともうかがわれない。そうすると,本件の事実関係に照らせば,上告人らは,民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかったというべきである。」


【雑感】
・近時問題となった認知症の親への監督義務同様,非常に考えさせられる問題です。最高裁も3年もかけて審理(放置?)したようで,簡単に結論を出せない問題であったことが窺わされます。
・この事案で事故の起こった時間が放課後でなければ,学校の監督責任の範囲内ということになると思われますが,どこまで親権者が放課後の子供を監督すべきかという問題で,四六時中監督するということは現実にはできないため,最高裁としてはよっぽどおかしなことがない限り,親の監督責任を否定したということだと思います。
・ただ,これによって死亡した被害者の方は請求棄却になり,納得できない結論になりました。せめて,小学校としては,放課後であっても学校の敷地から派生したものについても,一定程度の補償が行われるような保険があれば救われるのになぁと思いました。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-04-09 23:06 | 最高裁

【外れ馬券の経費性】最高裁平成27年3月10日判決

【外れ馬券の経費該当性】
・最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成26年(あ)第948号・所得税法違反被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84934


【事案の概要】
・被告人は,馬券を自動的に購入できる市販のソフトを使用して馬券を購入していた。被告人は,同ソフトを使用して馬券を購入するに際し,馬券の購入代金の合計額に対する払戻金の合計額の比率である回収率を高めるように,インターネット上の競馬情報配信サービス等から得られたデータを自らが分析した結果に基づき,同ソフトに条件を設定してこれに合致する馬券を抽出させ,自らが作成した計算式によって購入額を自動的に算出していた。この方法により,被告人は,毎週土日に開催される中央競馬の全ての競馬場のほとんどのレースについて,数年以上にわたって大量かつ網羅的に,一日当たり数百万円から数千万円,一年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていた。実際に本件の公訴事実とされた平成19年から平成21年までの3年間は,平成19年に約1億円,平成20年に約2600万円,平成21年に約1300万円の利益を上げていた。


【判示事項】
「被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ,一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では,払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるとした原判断は正当である。
(中略)
外れ馬券を含む全ての馬券の購入代金という費用が当たり馬券の払戻金という収入に対応するなどの本件事実関係の下では,外れ馬券の購入代金について当たり馬券の払戻金から所得税法上の必要経費として控除することができるとした原判断は正当である。」


【雑感】
・1審以来非常に興味のあった事件。最高裁も結論として,外れ馬券の購入費用を必要経費と認めました。
・しかし,1審以来気になっていたのですが,あくまでこの結論は,本件のようないわば職業的な自動ソフトを使った場合のみで,趣味程度では経費として認められないのではないかと思います。この判決によって,経費申告する人は,本判決の射程が及ばないという判断もありうることを肝に銘ずるべきです。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-03-10 23:40 | 最高裁

【最高裁】最高裁平成27年2月24日決定

【最高裁訴訟終了宣言に対する不服申立て】
・最高裁平成27年2月24日第二小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成27年(す)第109号・訴訟終了宣言の決定に対する不服申立て事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84885


【決定要旨】
「本件は,申立人の上告取下げに伴い当裁判所がした訴訟終了宣言の決定に対する不服申立てであるところ,終審である最高裁判所がした訴訟終了宣言の決定に対しては不服申立てをすることが許されないから,本件申立ては不適法である。」


【雑感】
・なにより驚いたことは,原審裁判所名に最高裁判所と記載されたことです。最高裁でもあまり例はないのではないでしょうか。
・よく,上告不受理になったときは三行しか理由付けがなされないことから,「三行決定」といわれますが,この事件は別の意味で三行決定ですね。
・最高裁としてもこのような明らかな決定をHPに掲載する必要もないのに掲載したのは,今後同じことをすることがないようにという見せしめでしょうか。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-02-28 23:22 | 最高裁

【会社法】最高裁平成27年2月19日判決

【非上場会社と有利発行】
・最高裁平成27年2月19日第一小法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成25年(受)第1080号・損害賠償請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84873


【事案の概要】
・かつら販売大手A社が上場前にIらに不当に安い価格で新株を発行するなどして会社に損害を与えたとして、株主がIら4人を相手に,約22億5000万円を会社に賠償するよう求めた事案。


【争点】
・非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たるか。


【株価】
・平成12年5月時点で1株1万円程度,平成18年3月時点で1株(株式分割前)9000円程度の価値を有し,DCF法によれば平成16年3月時点の価値は1株7897円と算定された。本件新株発行の発行価額は1株1500円だった。


【判示事項】
「非上場会社の株価の算定については,簿価純資産法,時価純資産法,配当還元法,収益還元法,DCF法,類似会社比準法など様々な評価手法が存在しているのであって,どのような場合にどの評価手法を用いるべきかについて明確な判断基準が確立されているというわけではない。また,個々の評価手法においても,将来の収益,フリーキャッシュフロー等の予測値や,還元率,割引率等の数値,類似会社の範囲など,ある程度の幅のある判断要素が含まれていることが少なくない。
 株価の算定に関する上記のような状況に鑑みると,取締役会が,新株発行当時,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していたにもかかわらず,裁判所が,事後的に,他の評価手法を用いたり,異なる予測値等を採用したりするなどして,改めて株価の算定を行った上,その算定結果と現実の発行価額とを比較して「特ニ有利ナル発行価額」に当たるか否かを判断するのは,取締役らの予測可能性を害することともなり,相当ではないというべきである。
 したがって,非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には,その発行価額は,特別の事情のない限り,「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないと解するのが相当である。」



【雑感】
・受験時代よく争点として取り上げられた問題でした。
 今後,司法試験の論文で取り上げられる可能性は十分あり,受験生は注意すべき判例でしょう。この判例を知らないと有利発行に当たるという受験生も多そうです。
・この判決によると,非上場会社で株主以外の者に新株を発行する場合はよっぽどのことがない限り,有利発行になることはなくなるでしょう。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-02-19 23:17 | 最高裁

【前科と死刑判断】最高裁平成27年2月3日決定

【裁判員裁判における前科と死刑判断】
・最高裁平成27年2月3日第二小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成25年(あ)第1127号・ 住居侵入,強盗殺人被告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84840


【決定要旨】
「死刑が究極の刑罰であり,その適用は慎重に行われなければならないという観点及び公平性の確保の観点からすると,同様の観点で慎重な検討を行った結果である裁判例の集積から死刑の選択上考慮されるべき要素及び各要素に与えられた重みの程度・根拠を検討しておくこと,また,評議に際しては,その検討結果を裁判体の共通認識とし,それを出発点として議論することが不可欠である。このことは,裁判官のみで構成される合議体によって行われる裁判であろうと,裁判員の参加する合議体によって行われる裁判であろうと,変わるものではない
 そして,評議の中では,前記のような裁判例の集積から見いだされる考慮要素として,犯行の罪質,動機,計画性,態様殊に殺害の手段方法の執よう性・残虐性,結果の重大性殊に殺害された被害者の数,遺族の被害感情,社会的影響,犯人の年齢,前科,犯行後の情状等が取り上げられることとなろうが,結論を出すに当たっては,各要素に与えられた重みの程度・根拠を踏まえて,総合的な評価を行い,死刑を選択することが真にやむを得ないと認められるかどうかについて,前記の慎重に行われなければならないという観点及び公平性の確保の観点をも踏まえて議論を深める必要がある。
その上で,死刑の科刑が是認されるためには,死刑の選択をやむを得ないと認めた裁判体の判断の具体的,説得的な根拠が示される必要があり,控訴審は,第1審のこのような判断が合理的なものといえるか否かを審査すべきである。」


【千葉勝美判事補足意見】
「本件に即して言えば,例えば,短絡的な理由で2名の殺害に至って服役したにもかかわらず,再び短絡的な理由で1名の殺害に及んだという点から,ひとくくりにして「生命軽視の傾向あり」と評価することも理解できないではない。しかし,前科と今回の犯行との関連等の吟味が不十分なままこの点を死刑選択の重要な考慮要素として過度に強調するとすれば,死刑の選択の場面では疑問がある。仮に,前科と今回の犯行との関連が薄いにもかかわらず,生命軽視の傾向という被告人の危険性ばかりを強調する文脈で前科を死刑の選択に傾く重要な要素とするとすれば,犯罪行為それ自体に対する評価を中心に据えて死刑の是非を検討すべき場面において,行為者としての被告人の人格的な側面を過度に評価するものといわざるを得ず,これもまた疑問である。そもそも,本件前科は,夫婦間の感情的な対立や子供の将来を悲観しての犯行であり,そのきっかけ等をみても,本件犯行が強盗殺人という自己の利欲目的のものである点やその経緯との関連が薄く,非難の程度,生命侵害の危険性の程度の点でも,死刑選択の際の重要な要素として強調するには限界があるといわざるを得ないのである。」


【雑感】
・第1審裁判員裁判が死刑を選択した後,第2審裁判官裁判で死刑判決を破棄した2件の東京高裁判決(東京高裁平成23年(う)第1947号・同平成23年(う)第773号)の上告審決定の1つ。
・本件では裁判員裁判性が強調されていますが,職業裁判官の場合でも,前科があればその関連性をあまり考慮せずに,前科があるから今回もまた同じ理由で再犯したと,反省なしとみる傾向があることは疑いの余地はありません。
・本件は死刑事案だからより慎重にということですが,その他の場合でも前科の取り扱いでより関連性が要求されるようになったともいえ,下級審裁判官はこの点をしっかり考えて,「謎の量刑感覚」で判断することなくきちんとやってもらいたいものです。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2015-02-06 23:13 | 最高裁

【選挙無効確認】最高裁平成26年11月26日大法廷判決

【参議院議員選挙無効確認】
・最高裁平成26年11月26日大法廷判決
(事件番号:最高裁判所平成26年(行ツ)第78号,79号・選挙無効請求事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84648


【事案の概要】
・平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について,岡山県選挙区の選挙人である被上告人らが,公職選挙法14条,別表第3の参議院議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟


【原審】
・広島高裁岡山支部平成25年11月28日判決
(事件番号:広島高等裁判所岡山支部平成25年(行ケ)第1号)


【主文】
「原審各判決を破棄する。
 被上告人らの請求をいずれも棄却する。
 訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。」



【大橋正春判事反対意見(27頁)】
「参議院選挙区選出議員の選挙区の定数是正について,国会は,平成16年大法廷判決後,平成17年7月に施行される参議院議員通常選挙までの間に較差を是正することは困難であるとして較差是正を見送り,従来の定数配分規定によって平成17年の通常選挙が施行された。同選挙後の検討の結果成立した平成18年改正においても,平成19年7月施行の参議院議員通常選挙に向けた当面の是正策として4増4減の措置が実施されただけであり,根本的解決は同選挙後の検討に先送りされた。平成18年改正による定数配分規定について平成21年大法廷判決は投票価値の不平等の是正については国会における不断の努力が望まれると指摘したが,国会は選挙制度の見直しを平成22年7月施行の参議院議員通常選挙後に先送りしただけでなく,同選挙に向けての当面の較差是正をも見送り,同選挙を対象とした平成24年大法廷判決で定数配分規定は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと指摘されることになった。そして,同選挙前に目標とされた平成23年度中に参議院議員選挙の抜本的改革を内容とする公職選挙法の改正法案の提出は実現されず,平成24年11月16日に成立した平成24年改正法においても,平成25年7月施行の参議院議員通常選挙に向けた当面の是正措置として4選挙区で4増4減措置を定めたにすぎず,抜本的な改革は平成28年7月施行の参議院議員通常選挙まで再び先送りされた。こうした国会の改正作業について,私は平成24年大法廷判決の反対意見において,「平成18年改正の4増4減措置は,表向きは暫定的なものとされていたものの,その真意は,それを実質的に改革作業の終着駅とし,しかも,最大較差5倍を超えないための最小限の改革に止めるという意図によるものであったと評価せざるを得ない。」と述べたが,平成24年改正についても,国会が過去の検討結果を利用して審議を促進させようとの動きを見ることはできず,国会の真摯な努力については疑問を持たざるを得ない
 関係者の主観的意図は別として,国会の行動は,外形的には,定数配分規定の憲法適合性が問題になると当面の選挙を対象とした暫定的措置を採って抜本的改革は先送りし,次の選挙が近づき定数配分規定の憲法適合性が問題になるとまた暫定的措置を採るのみで抜本的改革を先送りするということを繰り返しているように見える。平成24年大法廷判決の判示するとおり参議院の定数配分の違憲状態を解消するためには選挙制度の仕組み自体の見直しが不可欠である以上,このような暫定的措置と抜本的改革の先送りを繰り返すだけでは,違憲状態が解消されるものではなく,制度の仕組み自体の見直しを内容とする改正の真摯な取組がされないまま期間が経過していくことは国会の裁量権の限界を超えるとの評価を免れないというべきである。
 上記の諸事情を考慮すれば,本件選挙までに憲法の要求する投票価値の平等の実現を図らなかったことは国会の裁量権の限界を超えたものといわなければならない(そもそも,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたとされる状態を是正することは国会の憲法上の責務であり,裁量の問題とすることには違和感を覚える。当審は,最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁(以下「昭和51年大法廷判決」という。)以降,衆議院議員の選挙における投票価値の較差について,投票価値の平等の観点から憲法上問題があると判断した場合の次の判断事項として,「憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったといえるか否か」と判示して期間の問題であることを明示しているが,参議院議員選挙についてもこれと同様の問題の捉え方が適切であると考えられる。)。したがって,本件定数配分規定は,本件選挙当時において憲法に違反するものであったことになる。」


【雑感】
・結論は当然わかっていたことで,原審裁判官も当然に最高裁で逆転すると思いつつ無効判決を書いたと思われます。
・相変わらず,多数意見は特に読む必要もないので紹介しません。
・大橋反対意見は納得できることを書かれているので,紹介します。特に,なんでも立法裁量というのは違和感を覚えるとの指摘はまさにスバリ言い得ていると思います。

・ただ,大橋反対意見のうち,選挙の効力についての「全ての選挙区について選挙無効とするのではなく,一定の合理的基準(例えば較差が一定以上)に基づいて選択された一部の選挙区についてのみ選挙を無効とし,その他の選挙区については違法を宣言するにとどめることも可能であると考える。」という一部無効論は,現実的にはムリだろうと思います。
 結局この議論をしてしまうと,何倍なら無効といえるかで議論が止まることになり,時代が変わればまたその数値が変わりかねず,あまりに基準として不安定にすぎます。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2014-11-26 23:23 | 最高裁

【刑事事件】最高裁平成26年11月17日決定

【勾留請求却下後の準抗告の判断】
・最高裁平成26年11月17日第一小法廷決定
(事件番号:最高裁判所平成26年(し)第678号・勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件)
URL:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84640


【決定要旨】
「被疑者は,前科前歴がない会社員であり,原決定によっても逃亡のおそれが否定されていることなどに照らせば,本件において勾留の必要性の判断を左右する要素は,罪証隠滅の現実的可能性の程度と考えられ,原々審が,勾留の理由があることを前提に勾留の必要性を否定したのは,この可能性が低いと判断したものと考えられる。本件事案の性質に加え,本件が京都市内の中心部を走る朝の通勤通学時間帯の地下鉄車両内で発生したもので,被疑者が被害少女に接触する可能性が高いことを示すような具体的な事情がうかがわれないことからすると,原々審の上記判断が不合理であるとはいえないところ,原決定の説示をみても,被害少女に対する現実的な働きかけの可能性もあるというのみで,その可能性の程度について原々審と異なる判断をした理由が何ら示されていない
 そうすると,勾留の必要性を否定した原々審の裁判を取り消して,勾留を認めた原決定には,刑訴法60条1項,426条の解釈適用を誤った違法があり,これが決定に影響を及ぼし,原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められる。」



【雑感】
・刑事裁判官は身柄拘束を解いて被疑者に逃げられるのが嫌なので,とりあえず勾留しておけということが非常に多いです。
・この抗告審の判断もそれで,それが大半です。ただ,最高裁がこの判断をしたことで,刑事裁判官が実質的な要件判断を行うように実務が少しでも変わってくれることを祈ります。
・最高裁がこのような判断をしたのは,裁判員裁判の控訴審における判断基準のように,これからは,かならずそう判断した理由を書くようにということなんでしょうね。まあ,形式的な理由を書けば足りるという感じで,結局のところ実務は変わらなさそうですが…。


※上記の意見・情報などの正確性等を保証するものではなく,お使いになる方の判断と責任で情報の取捨選択をお願いします。

by lawinfo | 2014-11-20 23:46 | 最高裁